スタンリー・クラーク (アルバム)

スタンリー・クラークによるセカンド・スタジオ・アルバムであり、そのタイトルも自身の名を冠した『スタンリー・クラーク』は、1974年に発表されました。

アルバムの位置づけ

本作は、彼が新たに契約を結んだネムペラー・レコードからの第一弾リリースとして世に送り出されました。スタンリー・クラークは前年の1973年にも、ポリドール・レコードから『チルドレン・オブ・フォーエヴァー』というリーダー名義のアルバムを発表しています。しかし、クラーク自身はこの先行作品について、当時の所属レーベルや、共演者であったチック・コリアの意向が強く反映されたものであったと語っています。

そのため、彼自身の音楽的ヴィジョンが真に表れた作品として、この『スタンリー・クラーク』こそが実質的なリーダー・デビュー作であると彼は位置づけています。このアルバムは、その後の彼の輝かしいキャリアの礎となる、非常に重要な作品と言えるでしょう。

収録楽曲

アルバムに収められた楽曲は、スタンリー・クラーク自身が作曲を手がけたものが中心です（特記されているものを除く）。全6曲のうち、唯一の例外を除き、インストゥルメンタル作品となっています。

ヴァルカン・プリンセス - "Vulcan Princess" (4:00)
イエスタデイ・プリンセス - "Yesterday Princess" (Stanley Clarke, Carolyn Clarke) (1:41) - アルバム唯一のボーカル曲。作詞には当時の妻であるキャロリン・クラークが貢献しています。
ロプシー・ルー - "Lopsy Lu" (7:04)
パワー - "Power" (7:21)
スパニッシュ・フェイゼズ・フォー・ストリングス&ベース - "Spanish Phases for Strings & Bass" (Michael Gibbs) (6:32) - マイケル・ギブス作曲によるストリングスとベースのための楽曲。
ライフ・スーツ - "Life Suite" (13:49) - Part IからPart IVまで、複数のセクションで構成される長尺の組曲です。

参加ミュージシャン

本作には、スタンリー・クラークを支える実力派のミュージシャンが集結しました。クラーク自身はエレクトリックベースとアコースティック・ベースを中心に、ボーカル（「イエスタデイ・プリンセス」）、エフェクト、そしてブラス・オーケストレーションの一部も担当しています。

主要な参加メンバーは以下の通りです。

スタンリー・クラーク: エレクトリックベース、アコースティック・ベース、ボーカル、エフェクト、ブラス・オーケストレーション
ビル・コナーズ: ギター
ヤン・ハマー: ピアノ、エレクトリックピアノ、ハモンドオルガン、シンセサイザー
トニー・ウィリアムス: ドラムス

ゲスト・ミュージシャンとして、パーカッションにはアイアート・モレイラ（#6）、ストリングスおよびブラス・オーケストレーションにはマイケル・ギブス（#5, #6）がクレジットされています。ビル・コナーズは、このアルバムの発表前年、リターン・トゥ・フォーエヴァーのアルバム『第7銀河の讃歌』で既にクラークと共演していました。また、ドラマーのトニー・ウィリアムスは、1972年に自身のバンド「ライフタイム」にクラークをメンバーとして迎え入れた経験があります。

さらに、多数のストリングス・セクションおよびブラス・セクションの奏者が参加しており、楽曲に豊かな色彩を添えています。

チャート成績

アメリカ国内でのリリース後、本作は商業的な成功も収めました。総合アルバム・チャートであるBillboard 200では最高59位にランクイン。また、ジャズ専門のチャートとして知られるビルボードのジャズ・アルバム・チャートでは、より高い4位を記録するなど、ジャズ・フュージョン界におけるスタンリー・クラークの存在感を確固たるものとしました。

このアルバムは、その革新的なベースプレイと多様な音楽性によって、現在でも多くのリスナーに聴き継がれています。

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