スタンリー・セイディ

スタンリー・ジョン・セイディ

スタンリー・ジョン・セイディ（Stanley John Sadie, 1930年 10月30日 - 2005年 3月21日）は、イギリスの著名な音楽学者、音楽評論家、そして影響力のある編集者でした。彼は特に、音楽研究における重要な業績である『ニューグローヴ世界音楽大事典』の初版（『音楽と音楽家に関するグローヴの事典』第6版）の編集者として広く知られています。

キャリア

セイディはウェンブリーで生まれ、ロンドンの名門セント・ポールズ・スクールで教育を受けました。その後、ケンブリッジ大学のゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジに進学し、サーストン・ダートのもとで音楽を専門的に学びました。1953年に教養と音楽の学士号を取得し、1957年には教養の修士号、そして1958年には博士号を取得しました。彼の博士論文は、18世紀半ばのイギリスにおける室内楽をテーマとしていました。

ケンブリッジ大学を卒業後、セイディは教育者としてのキャリアをスタートさせ、ロンドンのトリニティ音楽院で教鞭を執りました（1957年 - 1965年）。その後、彼は音楽ジャーナリズムへと活動の場を移し、『タイムズ』紙の音楽評論家としてその才能を発揮しました（1964年 - 1981年）。1981年以降は、『グローヴ』への参加やその他の学術的な仕事に専念するために『タイムズ』を去り、『フィナンシャル・タイムズ』紙に評論を寄稿しました。また、1967年から1987年までの間、『ミュージカル・タイムズ』紙の編集者も務めました。

1970年以降、セイディは『音楽と音楽家に関するグローヴの事典』第6版（1980年）の編集者としてその手腕を発揮しました。彼は主要な変更点を監督し、事典を9巻から20巻へと大幅に拡大させました。この改訂版は『ニューグローヴ世界音楽大事典』と改名され、現在ではその初版として知られています。さらに、彼は拡大された29巻からなる『ニューグローヴ』の第2版（2001年）においても重要な役割を果たしました。また、『グローヴ』の系列事典の拡張も指揮し、1巻からなる『Grove Concise Dictionary of Music』（1988年）や、スピンオフ版である『New Grove Dictionary of Musical Instruments』（全3巻, 1984年）、『New Grove Dictionary of American Music』（H・ウィリー・ヒッチコックと共編, 全4巻, 1986年）、『新グローヴオペラ事典』（全4巻, 1992年）などを世に送り出しました。加えて、『グローヴ』の項目を基に作曲家の伝記の編集も手掛けました。

『グローヴ』の仕事以外にも、セイディはテレビ放送された『Man and Music』の編集も担当しました（1989年 - 1993年）。彼はまた、ファゴットの演奏にも長けていました。

2005年 3月21日、セイディはサマセット州コシントンの自宅で亡くなりました。死因は、数週間前に診断されたばかりの筋萎縮性側索硬化症でした。

セイディは生涯で2度結婚しています。最初の妻であるアデーレ・セイディ（旧姓ブルーム、1931年 - 1978年）とは1953年にロンドンで結婚し、2男1女をもうけましたが、1978年に死別しました。その後、音楽学者のジュリー・アンヌ・セイディー（旧姓ヴァートリーズ、1948年生）と1978年に再婚し、1男1女を授かりました。

受章

セイディは、1982年に大英帝国勲章のコマンダー（CBE）に叙せられました。また、レスター大学から1982年に名誉文学博士号を授与され、1994年には王立音楽大学で、そして母校であるゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジでも名誉フェローに選任されました。2005年にはヘンデル音楽賞を受賞しています。

経歴

アメリカ音楽学会、通信会員（1996年）
王立音楽協会、会長（1989年 – 1994年）
The Critics' Circle
国際音楽学会、会長（1992年 – 1997年）

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受章

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関連資料

参考文献

外部リンク