スターダスト (小説)

スターダスト：小説と映画の軌跡

ニール・ゲイマンによるファンタジー小説『スターダスト』(原題:Stardust)は、1998年の出版以来、多くの読者を魅了し続けています。挿絵はチャールズ・ヴェスによるもので、ゲイマンの初の単独著作という点でも注目に値します。日本では2007年、角川文庫より金原瑞人氏と野沢佳織氏による翻訳で出版されました。

物語の舞台：ウォール村と魔法の国

物語はヴィクトリア朝時代のイギリス、ロンドンから遠く離れたウォール村を舞台とします。村の東には高い壁が続き、その向こうには魔法の国、妖精の国が広がっています。9年に一度、壁の向こうで市が開かれ、様々な種族の人々が集まります。

主人公トリストラン・ソーンは、壁の向こうから送られてきた赤ん坊として、村で育ちます。彼は村一番の美少女ヴィクトリアに恋心を抱き、彼女との約束を果たすため、流れ星を取りに妖精の国へと旅立ちます。

一方、妖精の国ではストームホールド国の国王が危篤状態にあり、7人の王子たちが王位継承を巡って争っています。その争いの鍵を握るのが、「ストームホールドの力」と呼ばれる宝石です。この宝石は流れ星として地上に落下し、それを巡る争いが物語に新たな展開をもたらします。

さらに、妖精の国には三姉妹の魔女が住んでおり、彼女たちは流れ星の心臓を食べて若さと美貌を保っています。彼女たちも流れ星を狙っており、トリストラン、王子たち、そして流れ星そのものが複雑に絡み合う物語が展開していきます。

主要登場人物

トリストラン・ソーン: 人間と妖精の混血。誠実だが不器用な青年。ヴィクトリアへの愛を貫き、冒険に出る。
イヴェイン: 流れ星として現れた妖精。美しい容姿を持ち、感情によって体が輝きを変える。
ダンスタン・ソーン: トリストランの父。若い頃、妖精の国の市でレディ・ウーナと出会い、トリストランをもうける。
デイジー: トリストランの義母。ダンスタンの妻。トリストランを疎み、冷たくあたる。
ヴィクトリア・フォレスター: ウォール村の美少女。高慢な性格だが、トリストランに淡い恋心を抱く。
ストームホールド王: 瀕死のストームホールド国王。王位継承者を巡って王子たちを争わせる。
ストームホールドの王子たち: 王位継承権を巡って争う兄弟たち。
レディ・ウーナ: 猫の耳を持つ妖精。トリストランの母。
* リリム: 三姉妹の魔女の女王。流れ星の心臓を食べて若さを保つ。

映画版『スターダスト』

2007年には、マシュー・ヴォーン監督により映画化されました。アメリカとイギリスの合作で、豪華キャストを迎え、世界中で公開されました。上映時間は128分。

映画版では、原作を忠実に再現しつつも、オリジナルキャラクターやエピソードが加えられ、よりエンターテイメント性の高い作品に仕上がっています。特に、ロバート・デ・ニーロ演じるオリジナルキャラクター、キャプテン・シェイクスピアの存在は、映画版の魅力を高めています。

キャスト、スタッフ、撮影場所、そして製作過程なども含め、映画版『スターダスト』は原作小説とは異なる魅力と見どころが多数存在しています。原作に忠実な部分、そして原作にはない要素が、見事に融合している点も評価されています。

製作秘話

映画化権は当初ミラマックスが所有していましたが、製作は頓挫。その後、ニール・ゲイマン自身も関わってマシュー・ヴォーン監督が映画化権を獲得、製作が始まりました。脚本はヴォーンとジェーン・ゴールドマンが共同で執筆。原作を基にしながらも、現代的な要素を加え、ユーモアとドラマのバランスがとれた作品を目指したとされています。

評価と反響

映画『スターダスト』は批評家からも観客からも高い評価を得て、興行収入も大成功を収めました。MetacriticやRotten Tomatoesといった批評サイトでも好意的なレビューが多く見られます。

まとめ

『スターダスト』は、小説と映画の両面で高い評価を得た作品です。ファンタジーと冒険、そしてロマンスが絶妙にブレンドされた物語は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。小説と映画、それぞれの魅力を比較検討することで、より深くこの作品の世界観を理解できるでしょう。それぞれの表現方法の違いも楽しみながら、この作品の世界観に浸ってみてください。

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