スタートレックII カーンの逆襲

『スタートレックII カーンの逆襲』

『スタートレックII カーンの逆襲』は、1982年に公開されたアメリカのSF映画であり、スタートレックシリーズ全6作中の第2作です。本作は原作となるテレビシリーズの人気エピソード「宇宙の帝王」から続く物語を描いています。

ストーリーの概要

物語は、エンタープライズ号の老朽化とその役割の変化から始まります。カーク提督は現在地上での任務に戻り、代わりにスポックがエンタープライズの艦長として指揮を取ることになりました。エンタープライズ号は今や練習艦となり、平和な訓練航海が行われる予定でした。しかし、同時に20世紀に遺伝子工学によって作られた優生人類カーンと彼の仲間たちが、U.S.S.リライアント号を奪取し、流刑星から脱出を果たしていました。

カーンの目的は、マーカス博士が研究している「ジェネシス計画」に関するもので、命のない星に生命を誕生させる能力を持つこの装置を手に入れようとしています。そのため、カーンはカークに対する復讐を胸に、エンタープライズ号に攻撃を仕掛けます。

主なキャラクター

本作では、カーン・ノニエン・シンが重要な敵役として登場し、リカルド・モンタルバンがその役を再び演じます。カーンは、自身がテレビシリーズで追放された過去を持つキャラクターで、彼の復讐劇が物語の中心になります。また、ジェネシス計画を進行させる科学者のキャロル・マーカスとその息子デビッド・マーカスも重要な役割を果たします。加えて、バルカン人の士官候補生サーヴィックもストーリーに登場し、キャラクター間の関係が物語をより深いものにしています。

作品の魅力

『カーンの逆襲』は、SF映画ファンにとって魅力的な要素が満載です。特に印象的なのは、宇宙艦同士の迫力ある戦闘シーンです。また、短時間で生命を生み出す「ジェネシス計画」など、科学的アイディアが物語に巧みに組み込まれています。この新しい技術は、特撮映画における新たな表現として注目され、コンピュータ・グラフィックスによって実現されています。これに関しては、CGアニメーターであるエドウィン・キャットマルやアルヴィ・レイ・スミスらが深く関与しています。

加えて、ニコラス・メイヤー監督の新しい方針により、キャラクターたちが年齢を隠さず、成長や老いといったテーマが物語に組み込まれるようになりました。これにより、シリーズ全体における一貫したテーマが形成され、『新スタートレック』以降の作品にも影響を与えました。

キャストとスタッフ

キャストには、日本テレビ版やソフト版で吹き替えを担当した声優陣も加わり、作品に新しい風を吹き込んでいます。監督のニコラス・メイヤーだけでなく、製作脚本にはハーブ・ベネット、音楽にはジェームズ・ホーナーが名を連ねます。特に、音楽は視聴者を引き込む要素となっており、作品全体を通して感情的な深みを与えています。

『スタートレックII カーンの逆襲』は、過去の経験をもとに進化したキャラクターたちの葛藤と、迫力満点の宇宙での戦闘を描いた、SF映画の金字塔とも言える作品です。

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