スタート・ミー・アップ

ローリング・ストーンズ『スタート・ミー・アップ』：時代を超えるロックアンセム

1981年発表のローリング・ストーンズ楽曲『スタート・ミー・アップ (Start Me Up)』は、キース・リチャーズとミック・ジャガーによる共作で、アルバム『刺青の男』に収録され大ヒットを記録したロックナンバーです。その誕生は意外にも1976年のアルバム『ブラック・アンド・ブルー』のレコーディングセッションまで遡ります。

当初はキース・リチャーズが考案したリフをもとに、レゲエ調を目指して制作されました。しかし、完成に至らずお蔵入りとなりました。その後『女たち』のセッションでも録音されましたが、楽曲は「Never Stop」というタイトルで再び日の目を見ることはありませんでした。

しかし、時を経てプロデューサーであるクリス・キムゼイが楽曲を発掘。1981年、アルバム『刺青の男』のために再レコーディングとオーバーダブが行われ、『スタート・ミー・アップ』としてついにリリースされました。

この楽曲は、イギリスで7位、アメリカではビルボード・ホット100で2位を記録する大ヒットとなりました。この予想外の成功に、キース・リチャーズ自身も驚いたと語っています。その人気の高さから、ストーンズのコンサートでは欠かせないレパートリーとなり、多くのコンピレーションアルバムにも収録されています。ミック・ジャガーは『スタート・ミー・アップ』を80年代を代表する楽曲と称賛しており、その言葉通り、この曲は時代を超えて愛され続けるロックアンセムとして、現在も多くのミュージシャンによってカバーされています。

YouTubeの公式チャンネルでは、プロモーションビデオも公開されており、楽曲の世界観をより深く楽しむことができます。

一方、2016年には、当時アメリカ大統領選の共和党候補だったドナルド・トランプが選挙運動でこの楽曲を使用。これに対して、ローリング・ストーンズは使用許可を与えていないとして、使用中止を要求しました。しかし、トランプ陣営はこれを無視し、他のストーンズ楽曲『無情の世界』も使用したことが報じられました。

コンサートパフォーマンス

『スタート・ミー・アップ』は1981年のアメリカツアーからコンサートの定番曲となっています。1989年から1990年の「スティール・ホイールズ/アーバン・ジャングルツアー」では、セットリストの1曲目として演奏されました。その後は、セットリストの順番は異なりましたが、コンサートにおいて常に重要な位置を占め、多くのライブアルバムにも収録されています。例えば、『スティル・ライフ』(1982年)、『フラッシュポイント』(1991年)、『シャイン・ア・ライト』(2008年)などが挙げられます。近年では、再び1曲目として演奏されることも増え、その人気は衰えることを知りません。

まとめ

『スタート・ミー・アップ』は、紆余曲折を経て完成された楽曲でありながら、ローリング・ストーンズの代表曲として、そして80年代を象徴するロックアンセムとして、現在も世界中で愛され続けています。楽曲の持つエネルギーと、時代を超越した魅力は、これからも多くのリスナーを魅了し続けることでしょう。

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