スターマー内閣

2024年英国総選挙とスターマー新政権

2024年7月に行われた英国総選挙で、労働党が圧勝し、キア・スターマー党首が首相に就任しました。労働党は412議席を獲得し、これは過半数を大きく上回る勝利でした。前回の総選挙から14年ぶりとなる政権交代は、英国政治に大きな変化をもたらしました。

新内閣の誕生と特徴

スターマー首相は国王チャールズ3世より組閣を要請され、7月5日から7日にかけて新内閣が発足しました。この新内閣は、女性閣僚11人を含む、過去最多の女性閣僚を擁する内閣となりました。特に注目すべきは、女性初の財務相の誕生です。新内閣の初閣議は7月6日に開催され、新議会は7月9日に招集されました。

新政権の政策と課題

スターマー首相は就任演説で、国民への奉仕を誓い、喫緊の課題への取り組みを表明しました。特に、国民保健サービス（NHS）の改革は優先課題の一つです。NHSは資金不足と人材不足に悩まされており、診察待ちの長期化が深刻な問題となっています。新保健相は、NHSの現状を踏まえ、抜本的な改革に乗り出す意向を示しています。

また、教育、外交といった分野でも、新内閣は早急に政策実行に着手しています。新教育相は、教育改革への強い意欲を示しており、新外相は就任直後にドイツを訪問するなど、活発な外交活動を開始しました。スターマー首相自身も、スコットランド、北アイルランド、ウェールズを歴訪し、地方自治体との連携強化を図っています。

ルワンダ移送計画の廃止

スターマー首相は、就任早々に保守党政権が進めていた不法入国者をルワンダへ移送する計画を廃止すると発表しました。この計画は、人道上の問題や法的課題が指摘されており、国内外で大きな批判を受けていました。首相は、この計画が抑止効果を持たず、費用対効果も低いと判断したと説明しています。この決定により、ルワンダ政府に既に支払われた2億4000万ポンドの返還問題が浮上しましたが、ルワンダ政府は返還を拒否しています。

国際社会との連携

スターマー首相は、就任直後から各国首脳との外交活動に精力的に取り組んでいます。日本、フランス、アメリカ、オーストラリア、インド、ウクライナなど、多くの国々と電話会談や直接会談を行い、緊密な連携を強化することで合意しています。特にアメリカ合衆国との関係強化は重視されており、バイデン大統領との会談では、ウクライナへの軍事支援継続などを確認しています。NATO首脳会議への参加も、国際社会における英国の存在感を示すものとなりました。

日本との関係では、自由で開かれたインド太平洋構想や、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化に向けた連携を強化することで合意しました。日英首脳電話会談では、グローバル戦闘航空プログラム（GCAP）を始めとする日英間の協力を継続していくことを確認し、ウクライナ情勢や地域情勢などに関する意見交換も行われています。

フランス、アメリカとの関係でも、安全保障、気候変動、人工知能など幅広い分野での協力を進めていくことで合意しています。オーストラリアとは英豪米のパートナーシップ強化について話し合い、インドとは防衛や貿易協定締結の可能性について協議しました。ウクライナとは、防衛援助の継続を約束しています。

まとめ

スターマー新政権は、歴史的な選挙結果を背景に、国内外の課題に積極的に取り組む姿勢を示しています。女性閣僚の増加や、ルワンダ移送計画の廃止など、過去の保守党政権とは異なる政策が展開されることが期待されます。今後の政策展開や国際社会との関係、そして新内閣の取り組みが、英国の未来を大きく左右していくことでしょう。今後の動向に注目が集まります。

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