スターリングラード盾章

スターリングラード盾章

スターリングラード盾章（ドイツ語: Stalingradschild）は、ナチス・ドイツが計画した軍事勲章の一つです。この盾章は、第二次世界大戦中の独ソ戦で行われたスターリングラード攻防戦におけるドイツ軍の戦功を称えるために制定される予定でした。1942年10月、ドイツ陸軍の高官たちは、スタリングラードにおけるドイツ軍の優位性を背景に、近いうちに同都市を占領できるだろうと予測していました。

この予測に基づき、アドルフ・ヒトラーは、すでに設けられたクリミア盾章やナルヴィク盾章と同様に、スターリングラードにおけるドイツ陸軍第6軍の戦功を称える盾章の設立を提案しました。1942年11月25日、陸軍総司令部はスターリングラードの防衛を担当していたフリードリヒ・パウルス大将に対し、盾章の制定を通知しました。しかし、スターリングラードの防衛戦が繰り広げられている最中のパウルスは、占領の可否について不安を抱いており、「攻防が続いている現状では、盾章の制定は早計である」との返答を行いました。これを受けて、スターリングラード盾章の計画は頓挫することとなりました。

興味深いことに、実際に試作品が作成されることはありませんでしたが、デザイン案が一部存在していたため、戦後にはこれを基にした贋作が流通することもありました。旧ドイツ軍の栄光を称えるための記章を求める動きとともに、こうした贋作は当時の歴史的背景を象徴するものとなりました。

スターリングラードの攻防戦自体は、第二次世界大戦における重要な転機となり、ドイツ軍の戦略に大きな影響をもたらしました。この戦いの過程で、ドイツ軍は数々の戦略的選択に迫られ、その結果として多くの兵士が命を落としました。このような歴史的な背景がある中で、戦功を称えるための盾章制定が計画されたのは、単に戦意を高めるためだけではなく、戦士たちの犠牲を忘れないためでもあったと言えるでしょう。

脚注

スターリングラード盾章に関する歴史については、以下の資料が参考になります：

• - Kurt-G. Klietmann の著作『Auszeichnungen des Deutschen Reiches 1936–1945』では、当時の軍事的栄光や栄誉が詳細に記されています。
• - Klaus D. Patzwall の研究『Wahn und Wirklichkeit – der Stalingradschild』は、盾章の成立過程とその後の影響について触れています。

関連項目

• - スターリングラード攻防戦
• - フリードリヒ・パウルス

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