スターヴ教会

スターヴ教会：中世の木造建築の粋

スターヴ教会（Stave church）は、中世ヨーロッパ北西部で発展した独特の木造教会建築です。「スターヴ」とは、教会の荷重を支える主要な柱（古ノルド語で「stafr」）を指し、この建築技術の名称の由来となっています。別名「樽板教会」とも呼ばれ、その壁面構造に特徴があります。

歴史的背景と現状

かつてヨーロッパ北西部に広く分布していたスターヴ教会ですが、時代の変遷とともに石造りの教会への建て替えが進み、その数は激減しました。現存するスターヴ教会の多くはノルウェーに集中しており、国内でもわずか28棟が残るのみとなっています。

ノルウェー国外では、スウェーデンのヘダレッドにある15世紀のヘダレッド・スターヴ教会、1842年にノルウェーからドイツのクルムヒューベル（現在のポーランド、カルパチュ）に移築されたヴァング・スターヴ教会、そしてイギリスのエセックス州グリーンステッドにある聖アンドリュー教会などが、中世のスターヴ教会として現存しています。

建築様式の詳細

スターヴ教会の最大の特徴は、建物の荷重を支える太い支柱を用いた構造です。壁面には丈夫な厚板が貼り込まれ、外観はまるで巨大な樽を思わせることから、「樽板教会」とも呼ばれます。

現存する主なスターヴ教会（ノルウェー）

以下に、ノルウェー国内に残る主なスターヴ教会をいくつか紹介します。

ウルネス・スターヴ教会（ウルネスの木造教会）: ユネスコ世界遺産に登録されており、その歴史的価値が認められています。
ボルグンド・スターヴ教会: 保存状態が非常に良好で、多くの観光客が訪れる人気のスポットです。
ヘッダール・スターヴ教会: ノルウェー国内最大級の規模を誇るスターヴ教会です。
ゴル・スターヴ教会: 元々はゴルに建てられていましたが、後にオスロ市ビグドイのノルウェー民俗博物館に移築されました。
レインリ・スターヴ教会
ファントフト・スターヴ教会: 一度焼失しましたが、その後再建されました。
ホッペルシュタ・スターヴ教会
カウパンゲル・スターヴ教会: 12世紀に建造された歴史ある教会です。

その他にも、ヘッゲ・スターヴ教会、ロム・スターヴ教会、ローメン・スターヴ教会など、様々なスターヴ教会がノルウェー各地に点在しています。これらの教会は、それぞれ独自の歴史と建築様式を持ち、訪れる人々を魅了しています。

スターヴ教会の魅力

スターヴ教会は、単なる古い木造建築ではありません。その独特な外観、精巧な彫刻、そして何世紀にもわたる歴史は、訪れる人々に深い感動を与えます。ヴァイキング時代の文化やキリスト教の伝来、そして中世の人々の生活様式を垣間見ることができる、貴重な文化遺産と言えるでしょう。

スターヴ教会を訪れることは、北欧の歴史と文化に触れる、特別な体験となるはずです。

もう一度検索