スチュアート・ホール (ボクサー)

スチュアート・ホール（Stuart Hall）は、1980年2月24日に生まれた元プロボクサーです。イングランドのダラム州ダーリントン出身。そのキャリアを通じて「技巧派の曲者」として知られ、IBF世界バンタム級王座を獲得しました。

彼のボクシングの道は、一般的な選手と比較して遅いスタートでした。プロライセンスを取得し、リングに上がったのは28歳になってからです。ボクシングを始める以前、ホールはスペインのイビサ島で約5年間を過ごしており、過去には波乱に富んだ生活を送っていたことを後に明かしています。

2008年4月に地元ダーリントンでプロデビュー戦を行い、6回判定で勝利を収め、キャリアを白星で開始しました。その後、国内のタイトル戦線で台頭し、2010年6月にはイヴァン・ナパとの対戦でBBBofC英国バンタム級王座を獲得。このタイトルを複数回防衛し、国内での評価を高めていきました。

英国王座を保持する中で、ホールはジェイミー・マクドネルやリー・ハスキンスといった、後に世界タイトルを争うことになる選手たちと対戦します。2011年9月、マクドネルとの英国・コモンウェルス・EBU欧州バンタム級トリプルタイトルマッチでは、激しい打ち合いの末に判定負けを喫し、プロキャリア初の黒星となると同時に、英国王座の防衛に失敗しました。また、2012年7月にはハスキンスとのEBU欧州王座決定戦でも判定で敗れ、タイトル獲得はなりませんでした。

挫折を乗り越え、ホールは再びタイトル獲得に挑みます。2012年11月にはジョシュ・ウェールに判定勝ちし、コモンウェルスイギリス連邦バンタム級王座を獲得。さらに2013年5月には、セルジオ・ペラレスを判定で下し、IBFインターコンチネンタルバンタム級王座も手に入れ、世界ランキング入りを果たします。

そして2013年12月、ジェイミー・マクドネルの王座返上により空位となったIBF世界バンタム級王座を巡る決定戦に出場するチャンスが訪れます。リーズでの世界初挑戦の舞台で、IBFランキング2位のヴィシー・マリンガと対戦。序盤の3回にダウンを奪うなど試合を優位に進め、12回3-0の判定勝利を収め、見事に世界王座獲得を成し遂げました。

世界王者となったホールは、2014年3月にマーティン・ウォードを相手に初防衛戦を行います。しかし、この試合は偶発的なバッティングによりウォードが負傷し、2回途中で試合続行不可能となり、負傷引き分けとなりました。規定により、この結果は王座防衛扱いとなりました。

続く2度目の防衛戦は、2014年6月に行われたポール・バトラーとの一戦でした。この試合でホールは12回判定の末、1-2の僅差で敗れ、世界王座から陥落しました。

王座を失った後も、ホールは世界の舞台への返り咲きを目指します。2014年10月には、バトラーの王座返上により再び設けられたIBF世界バンタム級王座決定戦に出場しますが、ランディ・カバジェロに判定で敗れ、王座奪還は叶いませんでした。2016年9月には、IBF王者となっていたリー・ハスキンスへの挑戦者として3年ぶりに再戦しますが、ここでも判定負けを喫し、王座奪還はなりませんでした。キャリア終盤の2017年9月には、ポール・バトラーとのWBA世界バンタム級挑戦者決定戦に臨みますが、判定で敗れ、再び世界タイトル挑戦権を得ることはできませんでした。

スチュアート・ホールがキャリアで獲得した主なタイトルは以下の通りです。

BBBofC英国バンタム級王座
コモンウェルスイギリス連邦バンタム級王座
IBFインターコンチネンタルバンタム級王座
IBF世界バンタム級王座（防衛1度）

遅咲きながら世界の頂点に立ち、多くの強敵やライバルと熱戦を繰り広げたスチュアート・ホールは、その独特な「技巧派の曲者」としてボクシングファンに記憶されています。

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