スティックパソコン

スティックPCとは

スティックPCは、USBメモリを一回り大きくした程度の超小型パソコンです。HDMI端子を備えており、直接ディスプレイに接続して使用します。タブレット端末にも使われるような省電力CPU、メモリ、小型のストレージ（eMMC）を搭載しているのが特徴です。キーボードやマウスは外付けで使用します。

本体が非常に小さいため、持ち運びが容易です。また、省スペース・省電力という特性から、店頭ディスプレイで宣伝映像を流すための端末としても利用されています。バッテリーは内蔵していませんが、消費電力が少ないため、モバイルバッテリーからの給電でも動作することがあります。

冷却ファンについては、搭載モデルと非搭載モデルが存在します。ファンがないモデルは、理論上は無音で動作しますが、排熱処理が十分でないため、高負荷な処理を行うとCPUの性能が低下する可能性があります。一方、ファン搭載モデルは、排熱性能に優れますが、動作音が気になる場合があります。したがって、高負荷環境でも安定した性能を求める場合は、ファン付きモデルが適しています。

スティックPCの歴史

スティックPCの原型は、2003年に登場したThe Gumstixであると言われています。これはARMアーキテクチャのSoCとLinuxカーネル2.6を搭載したもので、Windows CEもインストール可能でした。そのコンセプトは、チューイングガムのスティックと同程度のサイズのPCを作るというものでした。

2012年頃には、ARMアーキテクチャのSoCを用いたスティックPCが登場し始めました。これらの製品はHDMIポートに直接挿すことができ、RikomagicのAndroid Mini Pc MK802シリーズや、AllwinnerやRockchipのSoCを用いたものが存在しました。Cotton Candyは、Samsung Exynos SoCを採用していました。

2013年から2014年にかけて、多くのメーカーがスティックPCの製造に参入しました。MeeGoPadは、Intel Atom Z3735Fプロセッサを搭載した初のx86ベースのスティックPCをリリースしました。

2013年4月には、TronsmartがRockchip RK3188を搭載したMK908を発売しました。同年7月には、GoogleがGoogle Chromecastを発売し、スティックPCに似た機能とデザインが注目を集めました。

その後、2014年11月にAmazonがFire TV Stickを発売、2015年3月にはASUSとGoogleがChromebitを発表、2016年1月にはインテルがIntel Compute Stickを発売するなど、各社から様々なスティックPCが登場しました。

2016年5月には、アスクがZOTAC製スティックPCを発表し、有線LANに対応しました。

日本では、2014年12月にマウスコンピューターが初のWindows搭載スティックPC「m-Stick MS-NH1」を発売しました。

主な仕様（2022年発売モデル）

プロセッサー: Intel Celeron J4125（4コア4スレッド、2.00Ghz〜2.70Ghz）
メモリ: 8GB（DDR4）
ストレージ: 128GB eMMC
通信機能: IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
インターフェース: HDMI 2.0×1、USB 2.0×1、USB 3.0x3、給電DCポートx1
カードスロット: microSDXC×1
OS: Windows 11 Pro 64bit
消費電力: 10W〜20W

主な参入メーカー

マウスコンピューター
サードウェーブデジノス（ドスパラ）
インテル
レノボ
ZOTAC
ASUS
SKYNEW (小型PC専門店)

関連項目

Chromecast - Googleが販売しているスティック型の端末。
* Fire TV Stick - Amazon.comが販売しているスティック型の端末。

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