Exynos

Exynos（イクシノス）

Exynosは、韓国のサムスン電子が開発したモバイル向けのARMアーキテクチャに基づくマイクロプロセッサ系列です。基本的に、サムスンのGalaxyシリーズや同社製のタブレットに搭載されています。また、これらのプロセッサは自社の工場で生産されているため、大手ファウンドリ企業への委託は行われていません。そのため、シェアはサムスンが手がける製品に限られ、他社製品に採用される例は極めて少数です。

Exynosという名称には、ギリシャ語の「スマート」を意味する「Exypnos」と「グリーン」を意味する「Prasinos」が含まれ、先進性と持続可能性の両方が象徴されています。最近の展開としては、2021年からGoogleのPixel 6シリーズに搭載されている「Google Tensor」があり、これもサムスンが製造を担当しています。実質的にはExynosを基盤にしながら、Google独自のカスタマイズが施されたものと考えられています。

歴史的な経緯

Exynosシリーズは、2010年6月に初めてスマートフォン端末「GALAXY S」に搭載されたExynos 3 Single（S5PC110）から始まりました。その後、2011年にはデュアルコアのExynos 4210が発表され、GPUにはARMのMaliが採用されました。2012年には、より小型化された45nmプロセスから32nmプロセスへ移行したExynos 4212が発表され、これによって次世代の製品ラインナップがスタートします。

2012年12月には、ARMが提唱するbig.LITTLE Processing技術を取り入れる計画が発表され、2013年3月には、この技術を搭載したExynos 5410を搭載したGALAXY S4が発表されました。この時点で、GPUとしてPowerVRが再採用されました。その後も、Exynosシリーズは進化を続け、2014年にはExynos 5422やExynos 5260といったモデルが発表され、2017年には10nm FinFETプロセスを採用したExynos 9 Series 8895が登場しました。

2018年には、さらに進化したExynos 9 Series 9810が発表され、最大1.2Gbpsのダウンロード速度に対応するLTEモデムを搭載しました。11月にはExynos 9 Series 9820が発表され、NPUを内蔵し、より高速な通信が可能となるなど、テクノロジーの進展を反映しています。

2019年には、Exynos 9825が登場し、さらにGPU性能が向上、次いでExynos 980では5G通信に対応しました。特に注目すべきは、2021年1月に発表されたExynos 2100で、これは5nmプロセスに移行し、2億画素のカメラや8K 60fps動画撮影にも対応しています。

システム対応

ExynosシリーズはLinuxにも対応しており、開発ボードなどにはUbuntuなどのLinuxイメージが提供されています。Exynos 4では、ARM製のMali-400を使用しており、ODROIDなどのプラットフォームではOpenGL ESに対応したX Window Systemのドライバも提供されています。

競合製品

Exynosの主な競合製品には、Appleが開発したAppleシリコン、クアルコムのSnapdragon、ファーウェイのKirin、MediaTekのMT/Helio/Dimensityシリーズ、そしてNVIDIAのTegraなどがあり、それぞれ異なる用途や性能を提供しています。

まとめ

Exynosシリーズは、サムスン電子が提供するモバイルデバイスの高性能なプロセッサとして市場での競争力を持ち続ける存在です。今後の技術革新にも期待が寄せられています。

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