ステイン (紋章学)

紋章学における「ステイン（stain）」とは、マレー（murrey）、サングイン（sanguine）、テニー（tenné)の3色の総称です。これらは、紋章学における標準的な色（ティンクチャー）ではなく、「原色（colours）」に分類されます。

ステインの歴史と意味

ステインは、中世以降の紋章にのみ現れる比較的新しい概念です。伝統的に、「名誉の除去」を表すと解釈されてきました。しかし、実際に名誉の除去を意味する実例はほとんど知られていません。イギリスの紋章においては、特別な用途、例えば仕着（特定の職務や地位を示す衣服）以外での使用は非常に稀です。

各ステインの詳細

マレー（Murrey）：具体的な色合いに関する記述は見つかりませんでした。

サングイン（Sanguine）：具体的な色合いに関する記述は見つかりませんでした。

テニー（Tenné）：テニーという言葉は、16世紀中頃に古フランス語の「tane」に由来します。「tane」は、日焼けした色合いを意味し、英語ではしばしば「tawny」とも綴られます。色彩としては、オレンジから黄褐色の中間色を指します。紋章学における表現方法としては、ペトラ・サンクタの方法において、平行な縦線に右下下がりの斜線を重ねて表されます。

ステインの使用例

1. ウェールズ大学（1893年創立）の紋章:
紋章の記述は以下の通りです。
`Argent on a fesse murrey three medieval lamps Or all within a bordure of the second charged with eight mullets of the third.`
これは、「銀色の地にマレー色の横帯があり、その上に金色の3つの古代のランプが配置され、さらにその周りを、8つの金色の星で装飾された2番目の色の縁取りが囲んでいる」という意味になります。この例では、マレーが紋章の色として使用されています。

2. スペイン第二共和政の国旗:
1931年に制定されたスペイン第二共和政の国旗は、赤（ギュールズ）、金（オール）、紫（マレー）の三色旗でした (スペイン語: roja, amarilla y morada)。この国旗は、スペインの歴史的な地域を象徴するために、これらの色が選ばれました。

その他の関連事項

紋章学には、ステイン以外にも様々な色や模様が存在します。例えば、オランジュ（オレンジ）もその一つです。紋章学は、ヨーロッパの歴史や文化と深く結びついており、その象徴的な意味を理解することは、歴史研究の一助となります。

まとめ

ステインは、紋章学において特殊な位置を占める色であり、その使用例は限られています。しかし、紋章のデザインに多様性をもたらし、歴史的な背景を反映する要素として、重要な役割を果たしています。紋章に興味を持つ人々にとって、ステインに関する知識は、紋章の解釈を深める上で役立つでしょう。

もう一度検索