ステファヌス8世 (ローマ教皇)

ステファヌス8世について

ステファヌス8世（Stephanus XIII、生年不詳 - 942年10月）は、10世紀に存在したローマ教皇であり、第127代教皇として939年から942年まで在位しました。彼の教皇としての在位期間は短く、その生涯は当時のローマにおける政治的混乱と有力者との確執に翻弄されたものでした。

生涯

ステファヌスはローマ出身で、サンティ・シルヴェストロ・エ・マルティーノ・アイ・モンティ教会の司祭枢機卿を務めていました。939年、先代教皇レオ7世が亡くなると、当時のローマの実力者であったアルベリーコ2世によって教皇に擁立されました。アルベリーコ2世は、教皇領における自身の権力を確立しようと目論んでおり、ステファヌスをその道具として利用しようとしたと考えられています。

当初、ステファヌスはアルベリーコ2世と協力して修道院の改革を進めました。しかし、次第に両者の間には対立が生じるようになります。この対立の原因は、権力闘争であったのか、教皇としての政策の違いであったのか、確かなことは分かっていません。

オパヴァのマルティンによる年代記によれば、この対立は悲劇的な結末を迎えます。アルベリーコ2世は、ステファヌスを幽閉し、さらに手足を切断するという残虐な行為に及んだとされています。この出来事は、当時のローマにおける政治的暴力と、教皇の権威が必ずしも絶対ではなかったことを示唆しています。ステファヌスは、この傷害が原因で942年10月下旬に亡くなったと考えられています。彼の死は、教皇権が世俗の権力に左右されていた時代を象徴する出来事として、歴史に記録されています。

歴史的背景

ステファヌス8世が教皇として在位した10世紀のローマは、政治的に非常に不安定な時代でした。教皇は、地方の貴族や有力者たちの影響下にあり、しばしばその意のままに操られることもありました。特に、アルベリーコ2世は、教皇領における自身の権力を確立しようと、教皇を擁立したり、退位させたり、あるいは幽閉したりするなどの行動を繰り返しました。このような状況の中で、ステファヌスは、教皇としての権威を確立することができず、政治的な争いに巻き込まれていったのです。彼は、教皇としての任期を全うすることなく、その生涯を終えることになりました。

ステファヌス8世の生涯は、中世における教皇権の脆弱性と、政治的混乱の激しさを物語る一例として、今日でも歴史家たちによって研究されています。教皇庁が正式に認めているステファヌス8世は939年に即位した人物であること、また、「ステファヌス」の名を持つ教皇の代数に関する歴史的経緯については、別途資料を参照する必要があります。

参考文献

Ambrogio M. Piazzoni, Stefano VIII, in Enciclopedia dei Papi, vol. 2, Roma, Istituto dell'Enciclopedia Italiana, 2000.
Martino di Troppau, edited by Georg Heinrich Pertz, Chronicon Pontificum et imperatorum, in L. Weiland (ed), Monumenta Germaniae Historica, Scriptores, XXII, Hannover, Hahn, 1872.
* P.G.マックスウェル＝スチュアート『ローマ教皇歴代誌』 創元社、1999年、pp. 93 - 94

もう一度検索