ステファヌス

ステファヌス（Stephanus）は、ラテン語の男性名であり、その語源は古代ギリシャ語の「Στέφανος」（ステファノス、意味は「冠」または「勝利」）に由来します。この名前は、様々な言語において異なる形で受け継がれており、イタリア語では「ステーファノ（Stefano）」、フランス語では「エティエンヌ（Étienne）」や「ステファヌ（Stéphane）」、スペイン語では「エステバン（Esteban）」、ポルトガル語では「エステヴァン（Estêvão）」、英語では「スティーヴン（Stephen）」、ドイツ語では「シュテファン（Stefan）」、ハンガリー語では「イシュトヴァーン（István）」など、多様な変化が見られます。この名前は、歴史を通じて多くの人々に用いられてきました。

特に、ローマ教皇の名前として複数回用いられており、その歴史の中でいくつかの混乱も生じています。例えば、752年に教皇に選出されたものの、就任前に死去した人物は、16世紀から20世紀中盤まで教皇の一人と数えられ、「ステファヌス2世」と呼ばれていました。このため、その時代には、他のステファヌス教皇の代数が一つずつずれて呼ばれていました。

以下に、歴代のステファヌス教皇を列挙します。

ステファヌス1世 (ローマ教皇)（在位：254年 - 257年）
ステファヌス (教皇選出者) - 752年に選出されたが、就任前に死去。かつてはステファヌス2世とされていた。
ステファヌス2世 (ローマ教皇)（在位：752年 - 757年）
ステファヌス3世 (ローマ教皇)（在位：768年 - 772年）
ステファヌス4世 (ローマ教皇)（在位：816年 - 817年）
ステファヌス5世 (ローマ教皇)（在位：885年 - 891年）
ステファヌス6世 (ローマ教皇)（在位：896年 - 897年）
ステファヌス7世 (ローマ教皇)（在位：928年 - 931年）
ステファヌス8世 (ローマ教皇)（在位：939年 - 942年）
ステファヌス9世 (ローマ教皇)（在位：1057年 - 1058年）

また、ローマ教皇以外にも、この名前を持つ著名な人物が存在します。

ステファノ（ステファヌス）：古代ローマにおける初期のキリスト教徒であり、最初の殉教者として知られています。彼はキリスト教の信仰を証しし、石打ちの刑で殉教しました。彼の死は、キリスト教の初期の歴史において非常に重要な出来事として記録されています。

ロベール・エティエンヌ（ラテン語名：ロベルトゥス・ステファヌス）：16世紀フランスの著名な印刷業者で、ルネサンス期の印刷技術の発展に大きく貢献しました。彼は、古典文学や聖書のテキストを正確かつ美しく印刷することに尽力しました。彼の仕事は、学術研究の発展にも重要な役割を果たしました。

* アンリ・エティエンヌ（ラテン語名：ヘンリクス・ステファヌス）：上記のロベール・エティエンヌの息子であり、同じく印刷業者として活躍しました。彼は、特にプラトン全集の共通底本として知られる「ステファヌス版」を出版したことで有名です。この版は、後の研究者にとって非常に重要な基礎資料となりました。アンリ・エティエンヌも、父と同様に印刷技術の向上と古典文献の普及に貢献しました。

このように、「ステファヌス」という名前は、キリスト教の歴史、ローマ教皇の歴史、そしてルネサンス期の印刷文化において重要な役割を果たしてきたことがわかります。この名前は、時を超えて多くの人々に受け継がれ、それぞれの時代において異なる意味と価値を帯びてきました。

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