ステーションブレイク

ステーションブレイク（station break）

放送業界における「ステーションブレイク」とは、一つの番組が終了し、次の番組が始まるまでの間に設けられる、短い時間帯を指す用語です。この言葉は主に日本や北米の放送で使用され、英語の「station break」に由来します。単に番組と番組の間の切れ目という意味合いだけでなく、この時間帯に放送される特定のコンテンツ群、あるいはそのコンテンツ自体を指す場合もあります。

役割と歴史的背景

ステーションブレイクは、単に番組の切り替えを行うための時間というだけでなく、放送局が視聴者に対して様々な情報を提供したり、収益を得たりするための重要な機会となっています。特にテレビ放送が始まった初期の頃は、技術的な制約から、番組の開始や終了にはある程度の準備時間が必要でした。そのため、番組の間に意図的に空白時間を設け、この時間に局名を表示した静止画を流すなどして技術的な準備を整えていました。これがステーションブレイクの原型の一つであり、当時は番組間の「休憩」という意味合いが強かったと言えるでしょう。

現代では技術が進歩し、番組間の切り替えはスムーズに行えるようになりましたが、ステーションブレイクという概念は残り、放送編成上の不可欠な要素として様々な目的で利用されています。

ステーションブレイクで放送される主な内容

ステーションブレイクの時間帯には、多岐にわたる内容が放送されます。主なものを以下に挙げます。

局名告知（ID）: 放送局の名前やコールサインを視聴者に知らせるものです。特に放送開始時や終了時、長時間の番組中などにも挿入されることがありますが、ステーションブレイクの時間帯によく見られます。放送局のアイデンティティをアピールする役割を持ちます。

スポットCM（コマーシャルメッセージ）: 民間放送局において、ステーションブレイクは広告収入を得るための非常に重要な時間枠です。この時間帯に放送される短いコマーシャルメッセージは「スポットCM」と呼ばれ、特定の番組ではなく、放送局が設定した時間枠に対して購入される広告です。ステーションブレイク枠で流れるスポットCM自体を指して、略して「ステブレ」と呼称することもあります。これは、番組途中で流れるCM（タイムCM）とは性質が異なります。

クロスプログラム: ある番組の終了時に、続いて放送される別の番組の内容を紹介するものです。視聴者の興味を引きつけ、チャンネルを変えずに次の番組も見続けてもらうことを促す目的があります。

番組宣伝: 同じ放送局で今後放送される予定の番組や、現在放送中の他の番組を告知するものです。これも視聴者の継続的な視聴や、別の時間帯への誘導を狙ったものです。

* その他の各種告知: 災害情報、緊急のお知らせ、視聴者への注意喚起、放送局が主催・関連するイベントの情報など、多岐にわたる内容が含まれます。放送局が必要と判断した情報をタイムリーに伝えるために利用されます。

これらの内容は、放送局の編成方針や時間帯、対象となる番組の種類によって様々です。

ステーションブレイクを挟まない編成

一方で、前番組の終了後すぐにステーションブレイクを挟まず、次の番組を開始する編成手法もあり、これは「ステブレレス」と呼ばれます。この編成は、視聴者が番組間のCMや告知によって他のチャンネルに流出するのを防ぎ、連続して視聴してもらうことを目的として行われます。人気番組の後にすぐに次の番組を持ってくる場合などに用いられることが多いです。

また、ステブレレスと関連して「フライングスタート」という編成手法もあります。これは、前番組が終了する数分前から次の番組を開始するというもので、これも視聴者をスムーズに次の番組へ誘導するための戦略の一つです。フライングスタートの場合、前番組の終了を待たずに次の番組が始まるため、前番組の終盤にステーションブレイク的な要素が組み込まれたり、あるいは完全にステーションブレイクの時間をなくしたりする形になります。

ステーションブレイクは、放送における節目として様々な情報を伝える重要な役割を担っており、放送編成を考える上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。その内容は時代とともに変化しつつも、放送局と視聴者をつなぐインターバルとして機能し続けています。

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