ストックホルム総合芸術及び産業博覧会

1897年、スウェーデンの首都ストックホルムにおいて、芸術と産業の発展を示す一大イベントが開催されました。正式名称は「ストックホルム総合芸術及び産業博覧会」、通称「ストックホルム博覧会」として知られるこの国際博覧会は、当時のスウェーデン国王オスカル2世の在位25周年を記念する重要な行事として位置づけられました。

この博覧会の構想は、1893年12月にスウェーデンの主要な協会が国王オスカル2世に対して開催を請願したことに始まります。国王の承認を得て委員会が組織され、政府による正式な承認を経て、1897年の開催が決定されました。建設工事は1895年に着工され、博覧会は予定通り1897年5月15日に国王自身の手によって盛大に開会されました。

出展者は合計で3,722を数えましたが、参加はスウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、ロシアといった特定の国々に限定されていました。当時すでに工業国として頭角を現していたカナダやドイツは、参加を強く希望したにもかかわらず、この博覧会への出展は叶いませんでした。

博覧会のメイン会場となったのは、ストックホルム市内にある美しいユールゴーデン島でした。この博覧会の開催は、島の景観と建築に大きな影響を与え、特に島の西側には現在も博覧会由来の建築物が数多く残されています。その代表例としては、本土と島を結ぶ主要な連絡路であるユールゴーデン橋、現在は野外博物館スカンセンの一部となっている歴史あるケーブルカー「フニクラー」、そしてスウェーデンの文化史を展示する北方博物館などが挙げられます。

会場には数多くのパビリオンや展示施設が建てられましたが、中でも特に注目を集めたのは、建築家フェルディナンド・ボベルグが設計した巨大な木造展示ホールでした。16,820平方メートルもの広大な面積を誇り、高さ100メートルに達するキューポラと四本のミナレットを備えたこの建築物は、博覧会の象徴的存在でした。しかし、このホールを含む多くの建物は、博覧会終了後には解体される一時的な構造物として建設されており、他の恒久的ではないパビリオンとともに撤去されました。

博覧会で紹介されたテーマの中には、当時の最先端技術であった新しいメディア、具体的には映画や写真がありました。開会式の様子は録音され、国王オスカル2世による開会の辞も記録されました。これらの貴重な録音は現在も保存されており、インターネットを通じて歴史的な音声資料として一般に公開されています。

1897年10月3日に博覧会が閉会した後、一時的な建築物は計画通りに解体されました。巨大な産業展示ホールもその姿を消しましたが、北方博物館のように博覧会のために建設され、そのまま現在もストックホルムで利用されている恒久的な施設もあります。博覧会開催当時の場所に今なお残っている建物としては、現在はレストランとして営業しているレインホルド・ベイカリーや、現在は個人邸宅となっている王立狩猟クラブのパビリオン、そしてダイアモンド・ロック・ドリル社のパビリオンなどがあります。また、野外博物館スカンセンに移築され、現在も保存されているパビリオンも複数存在します。これには、ブラグハレン、フレストルプ、ヴィラ・ルストゥスポルテンなどが含まれます。

ストックホルム総合芸術及び産業博覧会は、当時のスウェーデンの芸術と産業の到達点を示すとともに、ユールゴーデン島の景観形成に大きな影響を与え、現在も残る文化的遺産をストックホルムにもたらした歴史的なイベントでした。

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