野外博物館

野外博物館とは

野外博物館は、その名の通り、建物や展示物を屋外に配置した博物館です。従来の屋内展示が中心の博物館とは異なり、来場者が実際に見て、触れて、体験することで、歴史や文化、自然をより深く理解することを目的としています。

多様な形態

ヨーロッパでは、野外博物館は「スカンセン」、「ミュージアムズ・オブ・ビルディング」、「フォーク・ミュージアム」など、様々な名称で呼ばれています。これらの博物館では、歴史的な建造物や、当時の人々の生活様式を再現した展示が中心です。また、フランス発祥のエコミュージアムのように、地域住民の参加を重視し、生態系の観察や保護を目的とする新しい形態も登場しています。

野外博物館の中には、「リビング・ファーム・ミュージアムズ」や「リビング・ミュージアムズ」のように、当時の衣装を身に着けた人々が生活を実演するタイプもあります。これらの博物館では、屋外のかまどでの料理、バターの撹拌、紡績、織物、そして近代的な農機具を使わない農業など、当時の生活を目の当たりにすることができます。

歴史

野外博物館の起源は、19世紀後半のスカンジナビアに遡ります。当時、ナショナル・ロマンティシズムが高まる中で、地元の建築技術を基礎とした木造建造物の伝統を保存・展示する目的で、野外博物館が設立されました。1881年には、スウェーデン＝ノルウェー王国のオスカル2世が、自身のコレクションを公開したのが、世界初の野外博物館とされています。その後、1891年にスウェーデンのストックホルムに設立されたスカンセン野外博物館は、世界中の野外博物館のモデルとなりました。

世界各地の野外博物館

ヨーロッパでは、スイスのバレンベルク野外博物館やフィンランドのセウラサーリ野外博物館などが有名です。これらの博物館では、昔の生活と暮らし方を体験できます。一方、アメリカでは、ヘンリー・フォードが設立したグリーンフィールド・ヴィレッジが最初の野外博物館とされています。アメリカの野外博物館は、リビング・ヒストリー・ミュージアムとして知られ、当時の衣装を身に着けた人々が、手工業や日常生活を実演する点が特徴です。

日本の野外博物館

日本にも、各地に様々な野外博物館があります。北海道開拓の村やみちのく民俗村、江戸東京たてもの園など、それぞれの地域や時代の歴史と文化を伝える施設が点在しています。

野外博物館の意義

野外博物館は、単に歴史的な建造物や物を展示するだけでなく、当時の生活や文化を体験を通じて学ぶことができる貴重な場です。また、エコミュージアムのように、地域住民の参加を促し、地域の自然や文化を守る役割も担っています。ただし、リビング・ミュージアムにおける実演は、歴史解釈の誤解を招く可能性や、歴史の暗い部分から目を背けるようになるという批判も存在します。

今後の課題

野外博物館は、その特性から、展示物の維持管理や、歴史解釈の正確性、来場者の多様なニーズに対応するなど、様々な課題を抱えています。しかし、これらの課題を克服しながら、野外博物館は、今後も歴史や文化を伝える重要な役割を果たしていくでしょう。

具体例

• - スカンセン (スウェーデン): スウェーデン各地の民俗文化や建物が展示されているほか、トナカイやムースなどの動物も見られる。
• - グリーンフィールド・ヴィレッジ (アメリカ): アメリカの歴史的な建造物や、当時の生活を体験できる。
• - 北海道開拓の村 (日本): 北海道の開拓時代の建物を移築復元し、当時の生活様式を再現している。

関連情報

• - テーマパーク: 特定のテーマに基づいて、アトラクションやイベントを楽しむことができる施設。
• - ミニチュアパーク: 実在する建物や風景を縮尺した模型で再現した施設。
• - エコツーリズム: 環境保護に配慮した観光のあり方。
• - 彫刻庭園: 彫刻作品を屋外に展示した庭園。
• - 人間動物園: かつて存在した、人間を展示する施設。現在では人種差別的な要素を含むとして問題視されている。

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