ストライク・アップ・ザ・バンド (映画)

ストライク・アップ・ザ・バンド

作品概要

1940年にメトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）が製作・公開したアメリカ合衆国のミュージカル映画。プロデューサーはアーサー・フリード率いるチーム、監督はバスビー・バークレーが務めた。主演は、前作『青春一座』に続き、当時絶大な人気を誇っていたミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランド。彼らの強力なコンビネーションが見どころの一つとなっている。本作は、1927年に発表されたジョージ・ガーシュウィン作曲、アイラ・ガーシュウィン作詞による同名ミュージカルを原作としているが、タイトルトラックを除けば、舞台版とは内容や楽曲構成が大きく異なっているのが特徴である。

あらすじ

物語の主人公は、リバーウッド高校に通うドラム好きの少年、ジミー・コナーズ。彼は学校のスクールバンドで活動しているが、より自由なダンスオーケストラでの演奏に強い憧れを抱いている。ガールフレンドのメアリー・ホルデンと共に、学校の資金集めを目的としたダンスパーティー開催のため、校長先生に自分たちのアイデアを提案する。初めは渋っていた校長も、二人の熱意に動かされ、最初のチケット購入者となることで協力を得る。パーティーは見事に成功を収め、その収益で学校が楽器購入のために負っていた借金を完済することができた。

この成功を機に、ジミーは、高名なバンドリーダーであるポール・ホワイトマンがシカゴで開催する高校音楽グループのコンテストへの出場を決意する。コンテスト参加費用を捻出するため、生徒たちはわずか3週間という短期間で、脚本、演出、出演を全て自分たちで行う資金集めのショーを企画する。『ネル・フロム・ニュー・ロシェル』というタイトルのメロドラマは好評を博すが、それでも資金は目標額に届かない。窮地に立たされたジミーは、やむなくポール・ホワイトマン本人から資金を借り入れる。

しかし、更なる試練が彼らを待ち受けていた。バンドメンバーの一人、ウィリーが怪我をして緊急手術が必要になってしまうのだ。生徒たちは、苦労して集めたコンテスト資金を、ウィリーのシカゴでの手術費用に充てることを迷わず決断する。資金を失い、シカゴ行きが絶望的になったその時、彼らは間一髪で特急列車の無料乗車券を手に入れるという幸運に恵まれる。

シカゴに到着したジミーたちは、コンテストで見事優勝を果たし、賞金500ドルを獲得する。そして、コンテストのフィナーレでは、全ての出場バンドを率いて壮大な「ストライク・アップ・ザ・バンド」を指揮するという、最高の栄誉に輝くのだった。

楽曲

本作では、主題歌であるガーシュウィン兄弟作の「ストライク・アップ・ザ・バンド」を除き、ロジャー・イーデンスとアーサー・フリードによって新たに書き下ろされた楽曲が多く使用されている。特に「Our Love Affair」や「Do the La Conga」、「Nobody」などが、主演の二人のパフォーマンスや劇中のダンスシーンを彩っている。当時のMGMの技術が駆使され、サウンドトラックはステレオで収録されたが、劇場公開版はモノラルであった。後年のホームメディア化により、ステレオバージョンの一部が聴けるようになった。

評価と成果

本作は商業的に大きな成功を収め、特に北米市場で高収入を記録し、製作スタジオに多大な利益をもたらした。また、芸術面でも評価され、1941年の第14回アカデミー賞において3部門にノミネートされた。ロジャー・イーデンスとジョージ・ストールが劇伴で作曲賞に、楽曲「Our Love Affair」が歌曲賞にノミネートされたほか、MGMのダグラス・シアラーが録音賞を受賞している。後年、2006年にはアメリカン・フィルム・インスティチュート（AFI）が選ぶミュージカル映画ベスト候補にも挙げられている。

ホームメディアと影響

長年にわたり、様々なメディア形式でリリースされてきた。1991年にはVHS化され、2007年にはルーニーとガーランドの共演作をまとめたコレクションの一部としてDVDが登場。その後、単独版DVDや高画質ブルーレイも発売されている。また、本作は『ザッツ・エンターテインメント』など、過去のハリウッドミュージカルを紹介する作品にも度々引用されており、その歴史的な価値が再認識されている。

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