ストラトヴァリウス (2005年のアルバム)

ストラトヴァリウスは、フィンランドを代表するパワーメタルバンドであり、その11枚目のスタジオアルバムが、バンド名を冠した『ストラトヴァリウス』です。しかし、このアルバムは、これまでの彼らの音楽性とは大きく異なるものでした。

2003年末、前作『エレメンツ・パート2』のリリース後、ティモ・コティペルト（ボーカル）とヨルグ・マイケル（ドラムス）がバンドを脱退。一時、女性ボーカルの加入も噂されましたが、実現には至りませんでした。さらに、バンドの創設者であり中心人物であったティモ・トルキ（ギター）が、精神的な病を患い入院。バンドは活動停止状態に陥ります。

しかし、2005年初頭、ヨルグとコティペルトが復帰し、ニューアルバムの制作が発表されます。それが、この『ストラトヴァリウス』でした。アルバムはバンド名を冠しているにもかかわらず、従来の高速な楽曲はほとんどなく、シンフォニックな要素や神秘的なメロディも影を潜めました。代わりに、LAメタルを彷彿とさせるポップな楽曲が中心となり、ファンを驚かせました。

ティモ・トルキ自身も、後にインタビューでこのアルバムを好んでいないことを明かしています。アルバム発表後のライブでも、収録曲が演奏されることはほとんどありませんでした。

また、ベーシストのヤリ・カイヌライネンも、このアルバムの制作後に脱退。2008年にはトルキが一方的な解散騒動を起こしバンドを脱退したため、トルキとヤリが共に参加した最後のアルバムとなりました。

収録曲は以下の通りです。

1. マニアック・ダンス
2. ファイト!!
3. ジャスト・キャリー・オン
4. バック・トゥ・マッドネス
5. ジプシー・イン・ミー
6. 神々の黄昏
7. ザ・ランド・オブ・アイス・アンド・スノウ
8. リーヴ・ザ・トライブ
9. ユナイテッド

日本盤CDには、ボーナストラックとして、ティモ・トルキがボーカルを務めるライブ映像「ブレイク・ジ・アイス (Live)」が収録されています。

作曲は、#3,#5はトルキ/作詞コティペルト、メンバーの和解を描いた#9はトルキ/作詞コティペルト、イェンス・ヨハンソン、その他は全曲ティモ・トルキが手掛けています。

参加ミュージシャン

ティモ・トルキ - ギター, ボーカル, ベース
ティモ・コティペルト - ボーカル
ヤリ・カイヌライネン - ベース
イェンス・ヨハンソン - キーボード
* ヨルグ・マイケル - ドラムス

『ストラトヴァリウス』は、バンドの歴史において、非常に異質な作品と言えるでしょう。しかし、その背景には、メンバーの脱退と復帰、音楽性の変化、そして解散騒動といった、激動の時代がありました。このアルバムは、ストラトヴァリウスというバンドの、一つのターニングポイントを示す作品として、記憶されるべきでしょう。

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