ストランドバーグ (楽器メーカー)

ストランドバーグ（Strandberg Guitars AB）

ストランドバーグは、2007年にウーラ・ストランドベリがスウェーデンのウプサラで創業した楽器メーカーです。主にエレクトリックギターとベースの製造を行っています。

概要

創設者のウーラ・ストランドベリは、1980年代に機械設計エンジニアとしてキャリアをスタートし、1982年から弦[[楽器]]の製作を始めました。2007年には、自身のブログ「ストランドバーグ・ギターワークス」でエルゴノミック・ギター・システム（Ergonomic Guitar System、人間工学に基づくギターシステム）に関するプロジェクトや設計プロセスを公開。いくつかのプロトタイプを経て、2010年より「.strandberg guitars」としてギターの販売を開始しました。

2019年現在、インドネシア製と日本市場向けの日本製モデルが販売されています。過去にはスウェーデン本国での製造に加え、アメリカ、韓国、中国などでも製造が行われていました。日本国内での代理店は、ブティックペダルブランド「レクティーク(Leqitique)」の代表であるシュン・ノキナが担当しています。また、7弦ギターや8弦ギターの販売も行う数少ないメーカーの一つです。

製品の特徴

ストランドバーグのギターは、従来のギターとは異なるヘッドを取り払ったヘッドレス構造、人間工学に基づいてデザインされたボディシェイプとネックシェイプが主な特徴です。ヘッドをなくし軽量なボディにすることで完璧なバランスを実現。ボディシェイプは、様々なプレイスタイルに対応できるよう快適な演奏性を追求したデザインとなっています。

ネックシェイプには、特許を取得したストランドバーグオリジナルのエンデュアネック(EndurNeck™)が採用されています。これは、従来の丸みを帯びたネックグリップとは異なり、台形状の形状をしています。エンデュアネックは、ローフレットからハイフレットにかけて頂点が移動する形状で、ネックに沿えた指を正確な位置へと導き、手首へのストレスを軽減し、リラックスした安定した演奏をサポートします。また、扇形にフレットが打たれたファンドフレットを採用することで、低音弦に適切なテンションとより良いサスティーンを持続させながら、高音弦でのベンドを容易にしています。ファンドフレットは、ラルフ・ノヴァックがサウンド面に着目して考案したものですが、ストランドバーグでは人間工学の観点からもスケール幅が設定されています。

ハードウェアもウーラ・ストランドベリがデザインしており、各弦を独立させたブリッジにより分離感の良いサウンドを実現。アルミニウムを使用することで軽量化を図り、木材への弦振動の伝達を高めています。これらの設計は、スタインバーガー(Steinberger)のヘッドレス構造、アトランシア(Atlansia)のチューナーブリッジ、リック・トゥーン(Rick Toone)のトラペゾイド・ネック・プロファイル(Trapezoid Neck Profile)、リトル・ギター・ワークス(Little Guitar Works)のトーザル・ナチュラル・ツイスト(Torzal Natural Twist)、ラルフ・ノヴァック(Ralph Novak)のファンド・フレット(Fanned-fret)を基に考案されたと公言されています。

ラインナップ

ストランドバーグのギターには、数多くのモデル名や生産国の違いによる様々な機種が存在しますが、大きく分けるとボーデン(Boden)、ヴァーバーグ(Varberg)、セイレーン(Sälen)の3つのタイプがあります。これらのタイプを主軸に、シグネチャーモデルやトレモロユニット搭載モデルなど、仕様の異なるモデルが多数展開されています。

Boden

同社の主力機種であり、7弦や8弦のような多弦モデルを中心に展開されています。カスタムモデルでは9弦ギターも製作されています。2019年からはベースモデルも新たにラインナップに加わりました。どのプレイスタイルでも違和感なく演奏できるボディ構造、ファンフレット（マルチスケールに対応するため扇形に広がったフレット。同社の場合は0フレットを基準に低音側のスケールが長くなる）が特徴です。

Varberg

ボディのトップとバック（基本的にはメイプルとマホガニー）の間にアルダーを挟み込んだ3層構造が特徴です。その他の特徴はBodenと共通していますが、フレットは従来型のものが採用されていることが多いです。

Sälen

テレキャスターを彷彿とさせるデザインで初のシングルカットモデル。

生産ライン

プロダクションモデル

Original / Prog / Fusion / Metal / Standard (2017~)

2017年よりOSシリーズに代わって発表された現行のプロダクションモデル。OriginalはインドネシアのPT cortで、Prog / Fusion / Metalの3モデルはOSシリーズから引き続きワールド・ミュージカル・インストゥルメンツ(Wolrd Musical Instruments Co. Ltd.)で製作されていましたが、2018年より全てのモデルがPT cortで製作されるようになり、新たにStandardモデルが追加されました。

Sälen (2018~)

2018年より新たにラインナップされた機種。ほぼ全てのモデルがダブルカッタウェイのBodenシェイプですが、テレキャスターを彷彿とさせるデザインで初のシングルカットモデルとなります。DeluxeとClassicの2機種が存在しており、6弦のみ販売されています。

Classic

Boden Bass

Jシリーズ

2015年より販売が開始された日本製モデルです。長野県にあるダイナ[[楽器]]で製作されており、OSシリーズと比較して厳選された木材が使用されています。スペックはスウェーデン製カスタムショップに近いですが、位置づけとしてはカスタムショップ以前の米国製プロダクションモデルに近いモデルです。スウェーデン製がバレル型アウトプット・ジャックを廃止し、従来のアウトプット・ジャックを使用するためにデザインし直したジャック一体型のキャビティ・カバーが日本製にも採用されています。Jシリーズには、従来のBodenシリーズのスペックに近いJライン、希少な材等を使用したJカスタム、廉価モデルのJスタンダードの3種類が存在します。

シンギュラリティ(The Singularity)

[スカー・シンメトリー]のギタリスト、ペル・ニルソン(Per Nilsson)のシグネイチャーモデルです。ストランドバーグとしては最も低価格で販売されており、中国のYako Musical Instruments Co. Ltdで製造されています。スタンダードモデルとトゥルー・テンペラメント(True Temperament fretting system)の2つのモデルが用意されており、トゥルー・テンペラメントはスウェーデンにてフレットの作業が行われています。

LEDA 7 SignatureとLEDA 8 Signature

Ledaのシグネイチャーモデル。「Jカスタム」シリーズを基に製作された7弦モデルと8弦モデルです。ボディ・トップにはポプラ・バールを、バック材にはジャパニーズ・アッシュを用いています。バック材はチェンバー加工（内空構造）を施していないソリッドボディ構造となっています。両製品とも50台限定で発売されました。

生産終了モデル

メイド・トゥ・メジャー(Made to Measure/MtM/M2M) (2011-2018)

メーカー立ち上げ時から存在したオリジナルラインです。創設者のウーラ・ストランドベリと直接スペック等の打ち合わせを行い、製作されるフルカスタムラインでした。公式サイトよりウェイトリストに登録する必要があり、登録後に順番に製作が開始されていました。唯一のスルーネックモデルであり、ユーザーの好みに合わせたマテリアル、スケール幅やネックプロファイル、コントロールのレイアウトなど、様々なカスタムが可能でした。バックオーダーが1000件以上に膨れ上がり、キュー番号が初期のユーザーも数年待ちの状態が続いていたため、2017年に待機リストへのサインアップを廃止。2016年までにサインアップしていたユーザーのみが招待を受けることができるという仕組みに変更されました。2018年、自社工房の閉鎖に伴いカスタム・ショップが終了し、MtMも無期限の停止となり事実上の生産終了となりました。

カスタム・ショップ(Custom Shop/CS) (2012-2018)

2012年にプロダクションモデルとして米国のストリクトリーセブンギターズ(Strictly 7 Guitars/S7G)にて製作を開始しました。2013年にアストラル・イーエックスアール・システムズ(Astral EXR Systems/AES)なる子会社を発足し、S7Gから米国のワッシュバーンのOEMとして製造。後にAESは解散するも、引き続きワッシュバーンでの製作は行われ、プロダクション・モデルという位置づけから半固定ながらもオプションを選択できるセミカスタムラインとしてカスタムショップが展開されました。2015年、米国にあるワッシュバーンの工場閉鎖に伴い、スウェーデンの自社工房を拡大し、カスタム・ショップは本国スウェーデンに移り製作されました。2018年7月に自社工房の閉鎖とカスタム・ショップの終了が発表され、10月にカスタム・ショップの生産が終了となりました。

USA Select (2018)

OSシリーズ (2014-2017)

2014年より販売が開始されたプロダクションモデルです。製造は韓国にあるワールド・ミュージカル・インストゥルメンツ(Wolrd Musical Instruments Co. Ltd.)によるもの。一般的に廉価版という認識をされていますが、本国スウェーデン産とパーツやスペック等は同一でした。2017年より販売される新モデルよりOS表記を廃止したため、ワールド・ミュージカル・インストゥルメンツでの製作は引き続き行われるものの、事実上の生産は終了しています。

使用アーティスト

クリス・レッチフォード(Chris Letchford)
ポール・マスヴィダル(Paul Masvidal)
ペル・ニルソン(Per Nilsson)
ミーシャ・マンソー(Misha Mansoor) - ペリフェリー
トーシン・アバシ(Tosin Abasi) - アニマルズ・アズ・リーダーズ
ハビエル・レイエス(Javier Reyes)
イヴェット・ヤング(Yvette Young)
アラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)
プリーニ(Plini)
YouTuber'>[瀬戸弘司]
Leda(Far East Dizain)
小原莉子(RAISE A SUILEN)

脚注

外部リンク

ストランドバーグ公式サイト（英語）
* ストランドバーグ ブログ（英語）

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