ストリートファイターII V烈伝

『ストリートファイターII V烈伝 昇龍争覇』は、馬場康士（現・馬場康誌）によって描かれた日本の漫画作品です。本作は、人気アニメ『ストリートファイターII V』を原作とし、『コミックボンボン』（講談社）にて1995年5月号から1996年5月号まで連載されました。当時、同誌で非常に人気を博した作品として知られています。

概要

本作はアニメを原作としていますが、物語はアニメとは異なる外伝的な展開を見せます。作中ではガイルやサガットとの会話から、アニメと同一の世界観でありながら、時間軸がずれた物語であるかのような描写がなされています。しかし、アニメとは設定が異なるキャラクターも多く登場するため、実質的にはオリジナル作品として捉えることができます。作者は単行本第3巻に収録された大辞典のコメントにおいて、原作アニメを視聴していないため、内容を詳しく知らないと述べています。

波動とサイコパワー

本作では、人間が扱うことのできる超人的な力として、波動とサイコパワーの2つが登場します。

波動: 人間の内に秘められた潜在能力を解放する力であり、リュウの波動拳はその代表的な技です。波動の気を凝縮して放つ波動拳は、習得して間もないリュウでも、銃弾に耐えうる皮膚を持つ人造人間を吹き飛ばすほどの絶大な威力を持っています。また、波動を操る者は身体能力も向上する描写があり、南極での活動時にリュウが軽装で過ごせるのはその一例です。

サイコパワー: サイコサーキットと呼ばれる特殊な装置を体内に埋め込むことで得られる後天的な能力です。ベガ以外のサイコパワー使用者にはサイコサーキットが埋め込まれており、ベガ自身も過去に同様の実験を受けていたことが示唆されています。サイコパワーは、ベガによって様々な形で使用され、戦闘機並みの高度まで飛行したり、相手を吹き飛ばす攻撃などに用いられます。

波動とサイコパワーは相容れない性質を持ち、ぶつかり合うと強い反発力を生み出します。ベガは当初、この2つの力を融合させようと試みましたが、波動の力に阻まれ失敗に終わりました。その後、波動とサイコパワーの両方を操る者が現れますが、それぞれの力を別々に発生させて同時に発射するに留まり、融合による新たな力の創造には至りませんでした。しかし、この強い反発力を利用し、2つの力を同時発生させ、極限まで圧縮してから解放することで、非常に強力な破壊力を生み出すことが可能です。

主な登場人物

リュウ: 本作の主人公。ケンや春麗と共に武者修行の旅に出る中、謎の男に襲われ、その男の顔が自分の顔に変わるのを目撃します。その後、各地で様々な格闘家やハイデルベルクの人造人間部隊、シャドルーのベガと戦いを繰り広げます。アスラフィルとの戦いでは、内に秘めた黒い力が覚醒し、暴走しますが、アスラフィル消滅後、元の状態に戻り、黒い力に打ち勝つため、更なる高みを目指すことを誓います。
キャミィ: 元々はシャドルーの構成員でしたが、リュウに敗北したことで組織を追われ、リュウの武者修行に同行します。物語における事実上のヒロイン。
ガイル: アメリカ空軍の軍曹。アマゾンでの任務中に負傷したところをブランカに救助されます。その後、海を漂流していたリュウとキャミィを救出します。
ケン・マスターズ: リュウの親友。春麗と共にリュウを捜索します。
春麗: ケンと共にリュウを捜索します。物語中盤から衣装が『ストリートファイターII』と同様のものに変わります。
ベガ: 世界征服を目論むシャドルーの首領。サイコパワーを帝王の力と称し、リュウの内に秘められた黒い力に強い関心を抱いています。
バルログ: アラスカでリュウと戦い敗北後、シャドルーの一員となります。リュウからは「変態仮面」というあだ名で呼ばれます。
ディージェイ: 米軍に潜入したシャドルーの戦士。リュウに倒されます。
ハイデルベルグ: 人造機兵の研究を行う科学者。人造機兵07号に殺害されます。
アンジェラ: ハイデルベルグの助手であり、実はシャドルーの工作員。
03号: リュウを襲撃した人造機兵。他者の顔をコピーする能力を持ちます。
04号: ロスアンゼルスで警察と市街戦を繰り広げた人造機兵。銃弾に耐える皮膚を持ちます。
06号（豪雲）: リュウとケンの師範代。サイコサーキットを移植し、サイコパワーと波動を扱えるようになります。
07号（アスラフィル）: サイコパワーと波動の2つの力を持つ人造機兵。ハイデルベルグを殺害し、自己増殖と自己進化の能力を持ちます。

本作は、アニメ版『ストリートファイターII V』とは異なる独自のストーリーと設定で、魅力的なキャラクターたちが織りなす熱い戦いを描いています。

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