ストロベリー・フィールズ・フォーエバー

ストロベリー・フィールズ・フォーエバー：ビートルズのサイケデリックな傑作

1967年2月、ビートルズは「ペニー・レイン」との両A面シングルとして「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を世に送り出しました。ジョン・レノンが幼少期、リヴァプールの救世軍の孤児院「ストロベリー・フィールド」で過ごした思い出を元に制作されたこの曲は、彼らのサイケデリック期の到達点として高く評価されています。レノン＝マッカートニー名義ながら、レノンの強い個性が色濃く反映された、ビートルズの歴史に燦然と輝く一曲です。

ストロベリー・フィールドとレノンの思い出

楽曲のインスピレーション源となったストロベリー・フィールドは、レノンが幼少期を過ごした家の近所にありました。そこは救世軍が運営する孤児院で、レノンはそこで友人たちと庭園で遊び、夏には庭園パーティーを楽しむなど、楽しい思い出を数多く作りました。彼の伯母ミミさんの証言によると、救世軍の楽隊の演奏が始まると、レノンはすぐにでもパーティーに向かいたがるほど、この場所を愛していたそうです。

作詞と作曲

歌詞は、映画『ジョン・レノンの 僕の戦争』の撮影中に書かれたとされています。楽曲には詩作『ジャバウォックの詩』の影響が見られると、ポール・マッカートニーは指摘しています。「ペニー・レイン」と同様、幼少期の思い出を題材に、郷愁感あふれるメロディーと幻想的な歌詞が見事に調和した作品に仕上がっています。

複雑なレコーディング工程

「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」のレコーディングは、アルバム『リボルバー』完成後、初めて行われたセッションです。1966年11月24日に始まり、5週間にも及ぶ作業で、実に45時間を費やしました。異なる3つのバージョンが制作され、最終的にはテンポやキーの異なる2つのバージョンを繋ぎ合わせて完成するという、極めて複雑な工程を経て世に出ることとなりました。

テイク1～テイク26

レコーディングには、様々な楽器や録音技術が用いられました。初期のテイクではメロトロンが使用され、後にハリスンのスライドギターがオーバーダビングされています。何度かのリテイクを経て、最終的にはストリングスを加えたバージョン（テイク26）と、初期のバージョン（テイク7）を繋ぎ合わせるという、当時としては革新的な手法が採られました。テイク26では、逆回転ハイハットやピアノ、フルート、スワラマンダラの使用など、実験的な試みが数多く見られます。

繋ぎ合わせの妙技

最終的なミックスでは、テンポとキーの異なるテイク7とテイク26を繋ぎ合わせる必要がありました。プロデューサーのジョージ・マーティンとレコーディングエンジニアのジェフ・エメリックの卓越した技術によって、見事に2つのテイクが違和感なく融合され、楽曲に独特の深みと魅力が加えられました。楽曲終盤の「I buried Paul」と聞こえる箇所は、ポール・マッカートニーの死に関する都市伝説を生む一因となりましたが、実際には「Cranberry Sauce」と言っていたとのことです。

リリースと評価

「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」は「ペニー・レイン」との両A面シングルとして発売され、アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』には収録されませんでした。アルバム未収録だったにも関わらず、全世界的に高い人気を獲得し、多くの音楽誌で高い評価を受けています。『ローリング・ストーン』誌の「オールタイム・グレイテスト・ソング500」では第7位にランクインするなど、名実共にビートルズの代表曲の一つとして、現在も高い人気を誇っています。

プロモーション・フィルム

この楽曲のプロモーションのために制作されたプロモーション・フィルムは、演奏シーンを排し、ストップモーションアニメーションや逆再生などの映像技術を駆使した、実験的な作品となっています。メンバー4人は髭を生やし、レノンは丸眼鏡をかけて登場しており、新しいイメージを提示しています。

カバーバージョン

多くのアーティストが「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」をカバーしています。中でも、キャンディ・フリップによるシンセポップ調のカバーバージョンは、全英シングルチャートで3位を記録するなど、高い人気を博しました。

まとめ

「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」は、レノンの幼少期の思い出、革新的なレコーディング技術、そしてサイケデリックなサウンドが融合した、ビートルズを代表する名曲です。その複雑な制作過程と、時代を超えて愛され続ける魅力は、多くの音楽ファンを惹きつけてやみません。

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