スノークリーム

スノークリームとは

スノークリーム（Snow cream）という名称は、歴史的に見て、主に二つの異なるデザートを指す言葉として使われてきました。それぞれのデザートは製法や起源を異にしますが、どちらも冷たく、ふわふわとした食感を持つことから、共通の「スノークリーム」という名で呼ばれることがあります。

クリームベースのスノークリーム

このタイプのスノークリームは、ホイップクリームを主成分とするデザートです。その歴史は古く、16世紀頃にはすでにヨーロッパ各地で楽しまれていました。特に17世紀頃には、香りをつけたもの、あるいはつけていないものも含め、単にホイップクリームそのものが「スノークリーム」や「ミルクスノー」という名称で広く知られていました。

イタリアでは「ネーヴェ・ディ・ラッテ（Neve di latte）」、フランスでは「ネージュ・ド・レ（Neige de lait）」とも呼ばれ、文字通り「ミルクの雪」を意味します。当時のレシピには、ホイップクリームに香料を加えるだけでなく、メレンゲの材料となる卵白を加えることもあり、より軽い口当たりやボリューム感を出していたようです。イギリスやヨーロッパ大陸では、それぞれ独自の製法やアレンジが存在し、洗練されていきました。

雪ベースのスノークリーム

もう一つのスノークリームは、天然の雪を材料として用いる、より素朴なデザートです。雪をデザートに利用するという発想や技術は非常に古くから存在します。

このタイプのスノークリームは、清潔で降りたての雪を集め、それに甘みを加えた乳製品（牛乳やクリームなど）や砂糖、そして好みの香料（バニラエッセンスやフルーツフレーバーなど）を混ぜ合わせて作られます。混ぜ合わせる過程で、雪は少し溶けながらも乳製品と混ざり合い、再び冷えて固まることで、自家製のアイスクリームのような、またはシャーベットに近いひんやりとした食感のデザートが完成します。そのため、「スノーアイスクリーム（Snow ice cream）」と呼ばれることもあります。天然の雪を用いるため、降雪のある地域で手軽に作ることができるデザートとして知られています。

類似するデザート

スノークリームの他にも、「スノー」という名前が付く、あるいは雪や氷を用いたデザートがいくつか存在します。これらは必ずしもスノークリームと直接的な関連があるわけではありませんが、しばしば比較対象となります。

アップルスノー（Apple snow）: リンゴのピュレを主材料に加え、卵白などと共に泡立てて作るデザートです。17世紀頃には温かい状態で供されることもありましたが、現代では冷たくして食べるのが一般的です。リンゴ以外にも、レモンやオレンジなどのフルーツジュースを使って「レモンスノー」「オレンジスノー」を作ることもあります。ロシアの「エアーパイ（Air pie）」もこれに類するデザートで、卵白、砂糖、果物のピュレ、ホイップクリームを用い、熱くして提供されることがあります。
サマースノー（Summer snow）: 果物、卵白、アルコールなどを組み合わせて作られるデザートです。スノークリームよりも材料のバリエーションが豊富な場合が多いようです。
スノーボール（Snowball）: いくつかの異なる種類のデザートを指す名称ですが、その中の一つに「スラッシュ（Slush）」とも呼ばれる、細かく砕いた氷に果物シロップをかけたものがあります。これは雪ベースのスノークリーム、特に雪を材料とする点や、氷を原料とする点で関連があると見なせます。
スノーコーン（Snow cone）: かき氷の一種で、細かく削った氷に、通常は明るい色をした果物風味のシロップをかけて作られます。紙製のコーンやカップに入れて提供されるのが特徴です。雪ベースのスノークリームと同様に氷や雪を材料としますが、製法や食感、用いられるシロップの種類などが異なります。

これらのデザートは、名前や材料の一部に共通点が見られますが、それぞれ独自の歴史や製法を持ち、多様な冷菓文化の一部を形成しています。

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