スバル・EK型エンジン

スバル・EK型エンジン

スバル・EK型エンジンは、1958年から1989年までの約30年間、富士重工業（現在のSUBARU）によって製造された軽自動車および小型車向けの直列2気筒ガソリンエンジンです。最初のモデルはスバル・360用に開発され、軽自動車の市場参入とともに登場しました。これに伴い、EK型エンジンはスバル軽自動車の主力エンジンとしての役割を果たしました。

開発と歴史

EK型エンジンの開発は、1958年のスバル・360の製造時に開始され、その際には三鷹製作所で生産されていた250ccのスクーター用エンジンの生産ラインを流用しました。250ccから356ccへのボアアップにより、自動車に適した形で進化を遂げました。このエンジンは当初、空冷の2ストロークエンジンとして登場し、その後、様々な改良が施されていきました。

初期モデルであるEK31型エンジンは、1958年にスバル・360と共に登場しました。1960年にはEK51型が開発され、これはスバル・450向けのエンジンとして位置づけられていましたが、販売は不調で1966年には生産が終了します。その後、1971年に登場したEK33型エンジンでは水冷化が施され、さらに1973年には4ストロークエンジンへの大改良が実施されました。これによりEK21型が誕生し、4ストロークエンジンとしての性能向上が図られました。

バリエーションの進化

EK型エンジンは、その製造期間中にさまざまなバリエーションが存在しました。1973年に登場したEK21型は、軽自動車の排気ガス規制が強化される中で新たに設計されました。このモデルでは初めてSOHC（シングルオーバーヘッドカムシャフト）方式のバルブトレインが採用され、バランサーシャフトも利用して振動を減少させる工夫がなされました。

続いて、1976年にはEK22型が登場。これは先代のEK21型の排気量を拡大したもので、76年の規定改正に伴い一時的に登場したモデルでした。しかし翌1977年には550ccの正規エンジンが登場することとなり、EK22型の役割は短命に終わります。

1977年に登場したEK23型は、550ccまで排気量が増加し、さらには排ガス規制への対応を強化。最高出力も概ね31PSに達し、軽自動車の性能を向上させる要素となりました。1988年にはEK23型にスーパーチャージャーを搭載したモデルも登場し、高出力化が図られました。これにより、EK型エンジンは軽自動車市場での競争力を保ち、同年末まで製造が続けられました。

現在への影響

スバル・EK型エンジンは、その長寿命な生産期間と数多くのモデルにわたる多様なバリエーションを持つことで知られています。このエンジンはその後のスバル・EN型エンジンの基礎となり、軽自動車の設計において重要な役割を果たしました。今なお、EK型エンジンはスバルの自社開発・製造車両に深い影響を与え続けていると言えるでしょう。

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