スパイラックス・サーコ

スパイラックス・グループ：蒸気システムから医療機器まで幅広く展開するグローバル企業

スパイラックス・グループは、蒸気システム関連製品を主力とする、世界的に事業を展開する多国籍エンジニアリング企業です。イギリスに本社を置くSpirax Group plcが運営し、世界60カ国以上に拠点を持ち、ロンドン証券取引所に上場しています。その歴史は古く、1888年に輸入販売会社として創業、その後、スチームトラップの製造・販売へと事業を拡大していきました。

創業からグローバル企業へ

1888年、ハーマン・サンダースによってロンドンに設立された会社は、当初海外製品の輸入販売を手がけていました。1890年にはレザーズが経営に加わり、社名はサンダース・レザーズ＆CO.となりました。その後、略称のSarcoを使用するようになります。彼らはスチームトラップの輸入販売に着手し、1907年にはアメリカ合衆国に現地法人を設立しました。第一次世界大戦でスチームトラップの輸入が困難になったことから、ペンシルバニア州に自社工場を開設し、自社製スチームトラップの製造を始めます。イギリスでSarcoが商標登録されていたため、アメリカではSpiraxという名称で販売されました。1937年にはサーモスタット製造のグループ会社を設立し、チェルトナムに本社を移転。1952年には事業統合を行い、スパイラックス・サーコ・リミテッド（Spirax Sarco Ltd）として誕生しました。1959年にはスパイラックス・サーコ・エンジニアリング（Spirax-Sarco Engineering plc）として株式公開を果たします。

積極的な買収戦略と事業拡大

1970年代からアジア太平洋地域にも事業を拡大、数々の買収劇を通じて事業ポートフォリオを強化していきます。1990年には、医療用チューブポンプに強みを持つワトソンマーロー（Watson-Marlow）を買収、子会社化しました。その後も、2008年にはデンマーク、2009年にはドイツ、2015年にはカリフォルニア州の企業など、チューブポンプメーカーや医療機器メーカーを次々と買収。2019年には、フランスの熱エネルギー関連製品メーカーであるThermocoaxも傘下に収めました。そして2024年には正式に社名をスパイラックス・グループに変更しています。

現在のスパイラックス・グループは、蒸気システム事業が売上の約6割を占め、温度調節ソリューションが約15％、ワトソンマーローの売上が約25％となっています。顧客企業は多岐に渡り、医療・バイオ、食品、機械工業などが主要な顧客セグメントです。

日本における展開

日本市場への進出も早く、1973年にスパイラックス・サーコ・リミテッドの拠点が設立されました。2023年にはスパイラックス・サーコ合同会社として現地法人を設立し、千葉市美浜区にオフィスを構え、スチームトラップ、流量計、減圧弁などの販売を行っています。ワトソンマーローの日本法人であるワトソンマーロー株式会社は東京に拠点を置き、産業用ポンプ関連製品の販売を行っています。

まとめ

スパイラックス・グループは、長年に渡る技術革新と積極的なM&A戦略により、蒸気システムから医療機器まで幅広い事業を展開するグローバル企業へと成長しました。多様な顧客ニーズに対応し、世界中の人々の生活を支える重要な役割を担っています。その歴史と事業内容から、今後の更なる発展が期待される企業と言えるでしょう。

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