スパルタ (ロケット)

スパルタ (Sparta)

アメリカ合衆国によって1960年代に運用された固体燃料ロケットシステムが「スパルタ」です。このロケットは、既存のロケットシステムの構成要素や余剰部品を効果的に活用して開発されました。その主な目的は、大気圏への再突入に関する様々な実験データを取得することにありました。スパルタロケットは、合計10回の打ち上げが行われています。

機体構成

スパルタロケットは、3つの主要な段から構成されていました。第1段には、既に他の用途で余剰となっていたレッドストーンロケットの部品が転用されました。続く第2段にはアンタレスロケット、そして最終段となる第3段にはBE-3エンジンが採用されています。このように、異なるロケットやエンジンを組み合わせることで、効率的に開発・製造が進められました。

大気圏再突入実験ミッション

スパルタロケットの運用の中心は、大気圏への再突入技術の研究を目的とした実験ミッションでした。これらの実験は、1966年から1967年にかけて集中的に実施されました。実験の舞台となったのは、オーストラリア南部に位置するウーメラ試験場です。試験場内の射点LA-8から、計9回のスパルタロケットが打ち上げられました。これらの実験における到達高度は、おおよそ90kmから137kmの範囲でした。この一連の再突入実験において、初回の打ち上げのみが、機体の第1段に発生した不具合が原因で失敗に終わっています。しかし、それ以降の8回の打ち上げは全て成功し、貴重な実験データが収集されました。

オーストラリア初の人工衛星打ち上げ

スパルタロケットは、その再突入実験任務以外にも、歴史的な役割を果たしました。オーストラリアが同国初の国産人工衛星を打ち上げる計画を進める中で、アメリカはスパルタロケット1基をその目的のために提供しました。この人工衛星は「WRESAT（ウレサット）」と名付けられ、その質量は約45kgでした。

1967年11月29日、WRESATを搭載したスパルタロケットは打ち上げられました。この打ち上げは成功裡に終了し、WRESATは計画された地球周回軌道への投入に無事成功しました。投入された軌道の軌道要素は以下の通りです。

遠地点高度: 1252 km
近地点高度: 198 km
軌道傾斜角: 83.3度
軌道周期: 99.3分

この成功により、オーストラリアは人工衛星の自力打ち上げを達成した世界で7番目の国（または準国家主体）となりました。

まとめ

スパルタロケットは、1960年代に再突入実験用として開発・運用されたロケットであり、計10回の打ち上げが行われました。既存の技術や余剰部品を活用した効率的な設計が特徴です。9回の再突入実験と、特筆すべきオーストラリア初の人工衛星WRESATの打ち上げに成功し、宇宙開発史における一頁を飾りました。

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