スベトラーナ・マステルコワ

スベトラーナ・マステルコワ：中距離 track and field の女王

スベトラーナ・アレクサンドロヴナ・マステルコワ（Svetlana Aleksandrovna Masterkova、ロシア語: Светлана Александровна Мастеркова、1968年1月17日生まれ）は、ロシアの元陸上競技選手で、主に中距離種目で活躍しました。彼女の名前が最も輝いたのは、1996年のアトランタオリンピックでしょう。女子800mと1500mで金メダルを獲得し、中距離二冠という偉業を達成しました。

幼少期から世界へ

マステルコワは800mの選手としてキャリアをスタートさせ、1991年のソ連国内大会で優勝を果たし、同年の世界選手権代表に選出されます。しかし、世界選手権では8位に終わり、その後も同様の結果が続きました。彼女を苦しめたのは、度重なる怪我でした。1994年から1995年のシーズンは競技から離れることになり、この間に出産を経験しています。

競技復帰、そしてオリンピックへ

1996年、マステルコワは競技に復帰します。これまで800mを専門としていた彼女は、1500mにも挑戦することにしました。ロシア選手権では両種目を制覇し、アトランタオリンピックへの出場権を獲得します。しかし、800mにはモザンビークのマリア・ムトラ、キューバのアナ・フィデリア・キロットといった強豪選手がひしめいており、マステルコワは決して優勝候補とは見られていませんでした。

アトランタオリンピックでの奇跡

しかし、オリンピック本番でマステルコワは周囲の予想を覆します。800m決勝では、スタートから終始レースをリードし、そのまま1位でゴール。見事、金メダルを獲得しました。この大番狂わせは、世界中を驚かせました。さらに、彼女は800mだけでなく、1500mでも金メダルを獲得し、1976年モントリオールオリンピックのタチアナ・カザンキナ以来となる中距離二冠を達成しました。また、この年には1000mと1マイルの世界新記録も樹立し、その実力を世界に示しました。

その後

1997年、マステルコワは再び怪我に苦しみ、前年のような活躍を見せることはできませんでした。世界選手権の1500mでは途中棄権という結果に終わります。しかし、翌1998年にはヨーロッパ選手権の1500mを制し、2年前の輝きを取り戻しました。1999年の世界選手権でも1500mで優勝。800mではチェコのリュドミラ・フォルマノワに敗れたものの銅メダルを獲得しています。この大会が、彼女にとって最後のメジャー大会制覇となりました。

2000年のシドニーオリンピックにも出場しましたが、1500mで途中棄権という結果に終わり、このシーズンをもって現役を引退しました。

主な実績

1996年 アトランタオリンピック 800m 金メダル
1996年 アトランタオリンピック 1500m 金メダル
1998年 ヨーロッパ選手権 1500m 金メダル
1999年 世界選手権 1500m 金メダル
1999年 世界選手権 800m 銅メダル

記録

800m - 1分55秒87（1999年）
1000m - 2分28秒98（1996年）世界記録
1500m - 3分56秒77（1996年）
* 1マイル - 4分12秒56（1996年）世界記録

スベトラーナ・マステルコワは、怪我や出産といった困難を乗り越え、オリンピックで輝かしい成績を残しただけでなく、世界記録も樹立した、記憶に残る track and field 選手の一人です。

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