スベリヒユ

スベリヒユ（滑莧）

スベリヒユは、学名をPortulaca oleraceaとするスベリヒユ科の一年生植物です。この植物はC4植物として知られ、食用の野草としても広く利用されています。

名称

スベリヒユという和名の「スベリ」は、葉や茎が滑らかで光沢を持つことに由来すると考えられています。また、「ヒユ」はヒユ科の植物に似ていることが由来ともされています。日本各地では、地域によってさまざまな方言名があり、アカジャ、ウマビユ、ヌメリグサなど、多彩な呼び名で呼ばれています。中国では、生薬名としても知られる馬歯莧をはじめ、さまざまな名称がつけられています。

分布・生育地

スベリヒユは、熱帯から温帯地域に広く分布しており、日本国内でもどこでも見ることができます。特に、市街地の周辺に多く見られ、乾燥に強く、日当たりの良い土地で繁殖します。畑作の害草と見なされることもありますが、栄養価の高さから食料としても利用されており、「スーパーフード」としての評価を得ています。

形態・生態

本植物は、全体に多肉質で、無毛の草本です。茎は円柱状で赤紫色を帯び、高さは30〜50センチメートルまで成長します。夏から初秋の間に、小さな黄色い花を咲かせます。これらの花は日光に応じて開閉し、果実を形成して種子を放出します。スベリヒユは、非常に多くの種子を作る能力があり、一株から24万個以上の種子が発生することもあります。さらに、この植物は寒さに弱いですが、C4光合成とCAM光合成を行うことで、乾燥地でも生き残る能力を持っています。

利用

スベリヒユは、独特の酸味とぬめりが特徴で、栄養価が高いことから、食用として重宝されています。特に根を除いた全草が食材として利用され、サラダやおひたし、炒め物などに重用されます。日本では、東北地方や沖縄で特に親しまれ、地域によっては「パースレイン」としてスーパーフードとして店舗でも販売されています。料理法としては、茹でた後に水にさらし、アクを抜いてから調理することが一般的です。

薬用

スベリヒユは生薬としても利用されており、民間療法での効果が期待されています。全草を乾燥させて作られる馬歯莧は、解熱や利尿作用があるとされ、虫刺されの治療に使われることもあります。

近縁種

スベリヒユには、同属植物としてポーチュラカがあり、園芸用に栽培されています。また、マツバボタンも同じ属に属し、見た目が似ています。

スベリヒユと錬金術

興味深いことに、日本の江戸時代の書物には、スベリヒユから水銀を採取する方法が記載されていましたが、これは誤りとされています。

結論

スベリヒユは、見た目の美しさと栄養価の高さから、料理や薬用として利用されている、身近で貴重な植物です。

もう一度検索