スペシャルティ・レコード

スペシャルティ・レコードの歴史

スペシャルティ・レコード（Specialty Records）は、1946年にアート・ループによって設立された、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスに位置するレコードレーベルです。このレーベルはR&B、ブルース、ゴスペルなど、特に黒人音楽を専門に取り扱い、1950年代に数多くの有名アーティストを輩出しました。

設立時、アート・ループは既にジュークボックス・レコードを運営しており、そのビジネスパートナーであったアル・ミドルマンにそのレーベルを譲渡した後に新たにスペシャルティ・レコードを創設しました。初期にリリースしたアーティストは、ロイ・ミルトンやジミー・リギンズ、ジョー・ラッチャーといった名前が挙げられています。

1952年には、ループはロサンゼルスのもう一つのレーベル、インペリアルに登場したファッツ・ドミノの成功に刺激され、彼の故郷であるニューオーリンズに新たなアーティストを探しに行きました。そこで発掘したロイド・プライスは、シングル「Lawdy Miss Clawdy」でデビューし、R&Bチャートの1位を獲得するという成功を収めました。

1953年には、プロモーション担当のジョニー・ヴィンセントがギター・スリムをループに紹介し、彼もまたレーベルに加入します。1955年には、リトル・リチャードとの契約が実現し、このアーティストもスペシャルティ・レコードの一員として活躍しました。

また、ゴスペル音楽の分野でも成功を収め、サム・クック率いるソウル・スターラーズなどが作品をリリースし、特にゴスペルファンの間で高い人気を得ていました。しかし、サム・クックが世俗のソウル・ミュージックへの転向を望んだ際、ループは彼が支持を失うことを怖れて契約を解消しました。この出来事は、レコード業界におけるアーティストとレーベルの関係の複雑さを浮き彫りにしています。

その後、ラリー・ウィリアムズ、ドン&デューイー、パーシー・メイフィールドといったアーティストもレコーディングし、スペシャルティ・レコードは多様な音楽スタイルを取り入れながら成長しました。しかし、1960年代に入ると、ループはレコード業界から石油などの他のビジネスへと興味が移り、新しいレコーディングのスケジュールは次第に減少していきました。

新作をリリースしなくなった後も、レーベルの経営はアート・ループの娘に引き継がれ、既存の音源の再発が行われていました。1990年、スペシャルティ・レコードはファンタジー・レコードに売却され、その傘下に入りました。2004年にはファンタジーがコンコード・ミュージック・グループに買収され、現在はスペシャルティもその一部となっています。

2022年4月15日、アート・ループはサンタバーバラの自宅にて104歳で亡くなりました。彼のレガシーは、引き続き音楽界で色あせることなく語り継がれています。

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