スペンサー・ホレーショ・ウォルポール

スペンサー・ホレーショ・ウォルポール：ヴィクトリア朝を彩った保守党の巨星

スペンサー・ホレーショ・ウォルポール(1806-1898)は、19世紀イギリスを代表する政治家の一人です。輝かしい家系に生まれ、法曹界での経験を経て政界入りを果たし、3度にわたり内務大臣という要職に就きました。その生涯は、ヴィクトリア朝イギリスの政治史を語る上で欠かせない重要なものです。

名家出身と華麗なる経歴

ウォルポールは、裕福な家庭に生まれました。彼の曽祖父は初代ウォルポール男爵ホレーショ・ウォルポール、イギリス初代首相ロバート・ウォルポールの弟にあたります。また、母方の叔父は、かの有名なイギリス首相スペンサー・パーシヴァルであり、ウォルポール自身のファーストネーム「スペンサー」も彼に由来しています。

エリートコースを歩んだウォルポールは、イートン・カレッジを経てケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに進学。その後、リンカーン法曹院で法律を学び、1831年に弁護士資格を取得しました。著名な裁判長サー・ジョン・ロミリーの信頼を得て、多くの重要な事件に関与し、弁護士として高い評価を得ていました。1846年には勅選弁護士にも選ばれています。

政界での活躍と内務大臣としての重責

1846年、ウォルポールは保守党所属の庶民院議員に当選します。その後、ケンブリッジ大学選挙区から再選を果たし、1882年の引退まで国政に関わりました。

彼の政治家としてのキャリアにおいて最も重要なのは、3度にわたって内務大臣に就任したことでしょう。初めて内務大臣に就任したのは1852年、第1次ダービー伯爵内閣の時です。民兵の再編成を主導するなど、重要な役割を果たしました。

2度目の内務大臣就任は1858年、第2次ダービー伯爵内閣でした。しかし、選挙法改正をめぐる意見対立により、1859年に辞任することになります。

そして、3度目の内務大臣就任は1866年、第3次ダービー伯爵内閣でした。この時代は、国民による選挙法改正の要求が高まっていた時期であり、ウォルポールはハイド・パークでの集会許可問題で選挙法改正連盟と対立、国民の反感を招くこととなります。1867年5月、ハイド・パークでの暴動を機に内務大臣を辞任しますが、その後も無任所大臣として内閣に留まりました。

栄誉と家族

ウォルポールは、その功績により、枢密顧問官、オックスフォード大学とケンブリッジ大学から名誉学位を授与され、王立協会フェローにも選ばれています。

私生活では、首相スペンサー・パーシヴァルの娘と結婚し、2男1女をもうけました。長男は郵便局長、次男はインド担当副大臣の補佐官を務めるなど、息子たちもそれぞれ重要な役割を担いました。

まとめ

スペンサー・ホレーショ・ウォルポールは、名家出身、弁護士としての経験、そして3度の内務大臣経験など、華麗な経歴を持つ政治家でした。彼の政治活動は、ヴィクトリア朝イギリスの政治史に大きな足跡を残し、現代においても研究の対象となっています。様々な困難や批判にも直面しながらも、保守党の重鎮としてイギリス政治に貢献した、重要な人物と言えるでしょう。

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