スペースシャトル・オービター

スペースシャトル・オービター：宇宙への往復を担った有翼の宇宙船

スペースシャトル・オービターは、スペースシャトル計画において、実際に宇宙空間と地上を行き来する役割を担った、有翼の宇宙船です。ロケット、宇宙船、そして飛行機としての機能を併せ持ち、乗員と貨物を地球周回軌道へ運び、滑空機のように大気圏を飛行して帰還します。

概要

オービターは、機体後部に3基の再使用可能な液体ロケットエンジン（SSME）を搭載し、外部に取り付けられた固体ロケットブースターと合わせて、ロケットのように打ち上げられます。宇宙空間での活動後、大気圏に再突入する際には、グライダーのように滑空して地上の滑走路に着陸します。

従来の宇宙船とは異なり、オービターは完全なリフティングボディ構造ではなく、帰還時の滑空において翼による揚力を利用します。そのため、飛行機に近い形状をしており、垂直尾翼も備えています。機体前部にはキャビン、中央部には貨物室が配置されています。機体腹面には、大気圏再突入時の高温から機体を保護するための耐熱タイルが貼り巡らされています。

大気圏内での長距離輸送には、シャトル輸送機（SCA）と呼ばれる改造されたボーイング747が使用されます。輸送時には、機体後部にエンジン保護と空力改善のためのフェアリングが装着されます。

スペースシャトル・オービターの特徴

多機能性: ロケット、宇宙船、飛行機の機能を一体化。
再使用性: 主要部分を再利用することで、宇宙開発のコスト削減に貢献。
有翼構造: 滑空による大気圏再突入と滑走路への着陸を実現。

各オービターの紹介

スペースシャトル計画では、以下の6機のオービターが製造されました。

1. エンタープライズ (Enterprise): 大気圏内での滑空試験に使用された試験機。宇宙飛行は行わず。
2. コロンビア (Columbia): 1981年に初の宇宙飛行を成功させたオービター。2003年のミッションで空中分解事故により喪失。
3. チャレンジャー (Challenger): 1983年に初飛行。1986年の打ち上げ時に爆発事故により喪失。
4. ディスカバリー (Discovery): 1984年に初飛行。チャレンジャーとコロンビアの事故後、飛行再開の役割を担った。2011年に退役。
5. アトランティス (Atlantis): 1985年に初飛行。2011年7月、スペースシャトル計画最後のミッションを成功させ退役。
6. エンデバー (Endeavour): チャレンジャーの代替機として1992年に初飛行。2011年に退役。

スペック（エンデバー, OV-105の場合）

全長：37.24 m
全高：17.25 m
翼幅：23.79 m
空虚重量：約78トン
離陸時重量：109,000 kg
最大着陸時重量：104,000 kg
主エンジン：ロケットダイン製ブロック2-ASSME3基
推力：1基あたり178 ton
燃料：[液体水素] / [液体酸素]
最大積載量：25,060 kg
貨物室寸法：4.6m x 18.3 m
運用高度：190から960 km
速度：7,743 m/秒
乗員：6から8人

スペースシャトル計画の終焉

スペースシャトル計画は、2011年7月のアトランティスの最終ミッションをもって終了しました。30年にわたる活動期間中、スペースシャトルは宇宙開発に多大な貢献を果たし、多くの人々に感動を与えました。

関連項目

スペースシャトル
国際宇宙ステーション
スペースプレーン
* 宇宙船

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