スペースプレーン

スペースプレーンとは

スペースプレーンとは、航空機同様に滑走路から自力で離陸し、大気圏を離脱、その後再び滑走路へ着陸することができる宇宙船の一形態を指します。この機体は、従来の使い捨てロケットに比べて打ち上げにかかるコストを抑えることができるため、宇宙飛行の運用において大きな期待を寄せられています。しかし、技術的な側面で未解決な問題が多く、実用化はまだ実現していません。

技術的特徴

スペースプレーンの大きな特徴は、エアブリージングエンジンを使用する点です。これは大気圏内で酸化剤を搭載せず、空気中の酸素を燃料として利用するもので、燃費の向上につながります。また、飛行の際には揚力を得るための主翼やリフティングボディを持ち、大気圏内での運用が可能です。

現在主流となっているロケットは、自重に酸化剤を含むため、ツィオルコフスキーの公式に従った性能向上が難しいのに対し、スペースプレーンは空気中の酸素を使うことでその限界を克服しようとしています。

スペースプレーン計画の種類

様々なスペースプレーン計画が存在しており、大きく分けると○弾道飛行を目指すもの、○衛星軌道を周回する再利用型宇宙往還機を目指すものに分類できます。過去の計画では、Silbervogelが弾道飛行を想定していた事例があり、またX-30は「ワシントン-東京間を2時間で結ぶ」旅客機としての構想がありました。なお、X-15やスペースシップワンは仕事として有人弾道飛行を実施していますが、これらは通常スペースプレーンとしては分類されません。

現在の状況

世界中でいくつかの国がスペースプレーンの開発計画を持っていますが、実際に実用化が見込まれるまでには至っていません。技術の進展が遅れているため、特にスクラムジェットエンジンの開発が難航しており、現時点の技術力では異なる飛行速度や高度に応じて複数のエンジンを搭載する必要があります。そのため、一貫したスペースプレーンの設計は困難であり、宇宙飛行が予想以上に高コストであることがわかってきました。

特に、スペースシャトルのような部分再使用型宇宙往還機が蓄積したコストが、完全再使用型のスペースプレーンに対して厳しい評価を下す要因となっており、期待されていたコスト削減は容易ではありません。

主なスペースプレーンの研究

日本におけるスペースプレーンに関する研究は、旧NALが1980年代からスタートし、2003年にJAXAに統合された後も継続されています。この日本のスペースプレーンは「スペースプレーン」と呼ばれ、具体的な名称はまだ与えられていませんが、NASPに似た構造の設計図が公開されています。また、旧ISASで始まったATREXに関する基礎研究でも、2段式のスペースプレーンの概念が示されています。

関連する技術

スペースプレーンに関連する宇宙技術としては、再使用型宇宙往還機（RLV）や単段式宇宙輸送機（SSTO）、極超音速輸送機などが挙げられます。これらは、共通の概念を持ちながら、それぞれ異なる方向性や特性を持った技術の発展を目指しています。これからの宇宙飛行技術を進化させるための研究は、今後さらに重要となるでしょう。

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