スペースシャトル軌道制御システム

スペースシャトル軌道制御システム（OMS）は、スペースシャトル・オービタの軌道投入や軌道変更といった重要な役割を担うロケットエンジンシステムです。このシステムは、航空宇宙産業で実績のあるエアロジェット社によって設計・製造されました。

OMSは、オービタの背部、垂直尾翼の脇に、左右一対の「パック」として搭載されています。各パックには、ハイパーゴリック推進剤を使用するAJ-10エンジンが内蔵されています。このAJ-10エンジンは、アポロ計画で使用された司令・機械船のエンジン構造を基に開発されており、27kNの推力と313秒の比推力という優れた性能を発揮します。これらの性能により、スペースシャトルは精密な軌道制御を行うことが可能となります。

特徴として、AJ-10エンジンは、最大100回のミッションでの使用、1000回の点火、そして累積15時間の噴射に耐えることができる高い耐久性を持っています。これにより、OMSは長期にわたる宇宙ミッションにおいて、その信頼性を維持することが可能です。

さらに、OMSにはOMS/RCSと呼ばれる姿勢制御システム用のエンジンも搭載されています。このシステムは、スペースシャトルの姿勢を微調整するために使用され、より精密な軌道制御を可能にします。OMS/RCSは、モノメチルヒドラジンを燃料とし、四酸化二窒素を酸化剤として使用します。

スペースシャトルは、OMSを使用することで、約300m/sの軌道変換量を得るのに十分な燃料を搭載しています。この能力により、スペースシャトルは様々な軌道へと移行し、多様なミッションに対応することができます。

また、ミッション毎の飛行計画に応じて、OMSは軌道までの加速を補助する役割も担います。これにより、スペースシャトルの打ち上げから軌道投入までの一連のプロセスを効率的に行うことが可能となります。

出典:
http://www.astronautix.com/engines/ome.htm

もう一度検索