スペース・トラッカー

スペース・トラッカー

1996年に製作され、翌1997年に公開された映画『スペース・トラッカー』（原題：Space Truckers）は、アメリカ、イギリス、アイルランドが共同で手掛けたSFアドベンチャー作品です。地上を走る大型トレーラーを彷彿とさせる、どこかレトロでキッチュなデザインの宇宙輸送船が登場するなど、ユニークな世界観が特徴となっています。

概要

本作は、広大な宇宙を舞台に、ベテラン宇宙輸送業者が危険な積み荷を巡る巨大な陰謀に立ち向かう姿を描きます。主人公のジョン・キャニオンは、ある日、正体不明の積み荷が入ったコンテナの運搬依頼を引き受けます。しかし、その中身は恐るべき殺人ロボット「バイオ・メカニカル・ウォーリアー」の大群でした。この事実を知ったジョンは、偶然出会ったウェイトレスのシンディー、そして若手の輸送業者マイクと共に、宇宙を股にかける壮大な陰謀に巻き込まれていきます。彼らは様々な危機に遭遇しながらも、協力して困難を乗り越え、冒険を繰り広げます。

制作スタッフとキャスト

監督を務めたのは、ホラー映画などで知られるスチュアート・ゴードン。脚本はテッド・マンが担当しました。

特筆すべきは、日本のクリエイターたちが多数参加している点です。メカニカルデザインには、機械と生体の融合を描く独自のスタイルで世界的に知られるイラストレーターの空山基が参加。「バイオ・メカニカル・ウォーリアー」の印象的なデザインを手掛けました。また、特殊メイクアップアーティストとしてハリウッドで活躍するスクリーミング・マッド・ジョージが、これらのロボットの特殊効果デザインを担当しています。さらに、クリーチャーデザイナーとして名高い韮沢靖も、コンセプチュアル・アーティストとして制作に携わっており、日本の才能が本作のユニークなビジュアルを支えています。

主演は、アメリカン・ニューシネマの金字塔『イージー・ライダー』で俳優・監督として活躍した名優デニス・ホッパー。彼は主人公の宇宙トラッカー、ジョン・キャニオンを演じ、作品に深みを与えています。共演者にはスティーヴン・ドーフ、デビー・メイザーらが名を連ね、物語を彩ります。

日本語吹き替え版も制作されており、ジョン・キャニオンの声は大木民夫が担当したほか、宮本充、湯屋敦子、相沢正輝、中田和宏、田原アルノといった実力派声優陣が参加しています。

作品の特徴

本作の最大の見どころの一つは、その独特な宇宙船デザインです。アメリカの長距離トラックをそのまま宇宙に持ち込んだかのようなビジュアルは、従来のSF映画における洗練された宇宙船のイメージとは一線を画し、本作の世界観を強く印象づけています。このトラック型宇宙船は、外見のユニークさだけでなく、宇宙船としての装備なども細部にわたって作り込まれており、デザイン面でのこだわりが感じられます。

また、空山基とスクリーミング・マッド・ジョージが生み出した「バイオ・メカニカル・ウォーリアー」も、その異形な姿と恐ろしい存在感で物語の緊張感を高めています。

音楽と映像ソフト

主題歌は、クリス・ナイトによる「ハイウェイ・ジャンキー」が使用されており、作品のタイトルや世界観によく合った楽曲となっています。

本作は、VHS、レーザーディスク、DVDといった様々なメディアで映像ソフト化されています。1998年にVHSとLDが、2000年には国内盤DVDが発売されました。

『スペース・トラッカー』は、そのB級テイスト溢れるユーモア、個性的なデザイン、そして予測不能なストーリー展開が魅力のSFアドベンチャーであり、カルト的な人気を博しています。

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