スペース・トラッキン

「スペース・トラッキン」（Space Truckin'）は、1972年に発表されたディープ・パープルの6枚目のスタジオ・アルバム『マシン・ヘッド』に収録された楽曲です。彼らの代表曲の一つとして知られ、その独特な世界観とライブでの圧倒的なパフォーマンスで、長年にわたりファンを魅了し続けています。

この曲は、マーティン・ポポフの著書『史上最高のヘヴィメタル曲500』にも選ばれるなど、ヘヴィメタルの歴史においても重要な位置を占めています。イアン・ギランが好む「コミック的なユーモア」に満ちた歌詞は、惑星間を旅する宇宙の長距離トラック運転手の日常を、まるで休日のようにユーモラスに描いています。

『マシン・ヘッド』に収録されたスタジオ録音版は約4分半の長さですが、ライブでは定番のクロージングナンバーとして演奏され、即興演奏が繰り広げられるのが常でした。デビュー・アルバムに収録された「マンドレイク・ルート」の一節が挿入されたり、ギターソロやキーボードソロがフィーチャーされたりと、ライブならではのアレンジが楽しめます。特に、ライブ・アルバム『ライヴ・イン・ジャパン』に収録されたバージョンは約20分にも及ぶ長尺で、その即興性の高さが伺えます。第3期のディープ・パープルでは、30分を超える演奏も珍しくなく、リッチー・ブラックモアがギターを破壊するパフォーマンスも頻繁に行われていました。1974年のカリフォルニア・ジャムでは、テレビカメラを破壊したり、アンプに火を放ったり、爆発を起こしたりといった過激なパフォーマンスが映像として記録されており、伝説となっています。

「スペース・トラッキン」は、本国イギリスをはじめ、アメリカや日本などの主要な音楽市場ではアルバムのみのリリースでしたが、一部の国ではシングルとしても発売されました。メキシコでは、1973年に『ライヴ・イン・ジャパン』のライブバージョンを、7インチ盤の両面に33回転1/3の再生速度で収録した、片面9分50秒という珍しいシングルが発売されています。

この楽曲は、数多くのアーティストによってカバーされています。

オーヴァーキル - カバー・アルバム『カヴァーキル (Coverkill)』（1999年）
ドリーム・シアター - 『オフィシャル・ブートレグ・シリーズ:メイド・イン・ジャパン (Official Bootleg: Made In Japan)』（2007年）
* アイアン・メイデン - トリビュート・アルバム『ディープ・パープル マシン・ヘッド・トリビュート:リ・マシンド (Re-Machined: A Tribute to Deep Purple's Machine Head)』（2012年）

これらのカバーバージョンからも、「スペース・トラッキン」が世代を超えて愛され続けていることがわかります。ディープ・パープルの音楽性を象徴するこの曲は、これからも多くの人々に聴き継がれていくことでしょう。

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