イアン・ギラン

イアン・ギラン：ロック界の伝説的ボーカリスト

イアン・ギラン（Ian Gillan）は、1945年8月19日生まれ、イングランド出身のロック・ボーカリストです。身長185cm。彼は、ハードロックバンド「ディープ・パープル」のメンバーとして世界的に有名であり、その音楽キャリアを通じて、ロック界に多大な影響を与えました。2016年には、ディープ・パープルとしてロックの殿堂入りを果たしています。

生い立ちと初期の音楽活動

ロンドンのハウンズローでスコットランド系の家庭に生まれたギランは、少年時代にエルヴィス・プレスリーに憧れ、音楽への情熱を抱き始めました。1962年には、最初のアマチュア・バンド「ガース・ロケット・アンド・ザ・ムーンシャイナーズ」を結成し、音楽活動をスタートさせました。当初はボーカルとドラムを兼任していましたが、すぐにボーカル専任となりました。

その後、セミ・プロフェッショナル・バンドの「ザ・ジャヴェリンズ」、「ウェインライツ・ジェントルメン」を経て、1965年5月に「エピソード・シックス」に参加。ここで、彼は音楽家としての経験を積み重ねていきました。

ディープ・パープルでの活躍

1969年7月、ギランはエピソード・シックスの同僚であったロジャー・グローヴァーと共に、第2期ディープ・パープルに加入。ボーカルとパーカッションを担当し、ブルースを基盤とした独特の金切り声ボーカル・スタイルを確立しました。このスタイルは、後のヘヴィメタル・ボーカリストたちに大きな影響を与えました。

第2期ディープ・パープルは、『イン・ロック』、『ファイアーボール』、『マシン・ヘッド』、『紫の肖像』といった数々の名盤をリリース。1972年には初来日公演を行い、その模様は『ライブ・イン・ジャパン』として記録され、伝説的なライブ・アルバムとなりました。

しかし、ツアーに明け暮れる日々の中で、ギランはギタリストのリッチー・ブラックモアとの対立を深めていきました。1972年12月、彼はマネージメントに脱退の意思を伝え、1973年6月29日の大阪公演を最後にディープ・パープルを脱退しました。

ジーザス・クライスト・スーパースター

ディープ・パープル在籍中の1970年、ギランはミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』のオリジナル・キャスト・アルバムに参加し、主人公イエス・キリスト役を務めました。このアルバムは1971年のビルボード年間アルバム部門で1位を獲得する大ヒットとなり、ブロードウェイでの舞台化、映画化へと繋がりました。

イアン・ギラン・バンドとギラン

ディープ・パープル脱退後、ギランは音楽業界から一時的に身を引き、モーターサイクルとホテルの経営に携わりました。しかし、1975年10月16日、ロジャー・グローヴァー主催のコンサート『バタフライ・ボール』で音楽業界に復帰。

1976年には、イアン・ギラン・バンドを結成し、音楽活動を再開。ディープ・パープルとは異なるジャズ・ロックのスタイルを披露しました。日本では人気を博しましたが、イギリスでは評価されませんでした。

1978年にはイアン・ギラン・バンドを解散し、新たな編成による「ギラン」を結成しました。

ブラック・サバスへの加入と再結成ディープ・パープル

1983年、ギランはブラック・サバスに加入し、アルバム『悪魔の落とし子』を制作。しかし、ファンやプレスからは「パープル・サバス」と揶揄され、正当な評価を得られませんでした。

1984年4月、第2期ディープ・パープルの再結成に参加するために、ブラック・サバスを脱退しました。

再結成後、ギランはアルバム『パーフェクト・ストレンジャーズ』（1984年）、『ハウス・オブ・ブルー・ライト』（1987年）の制作に参加しましたが、再びブラックモアとの対立が表面化し、1989年に解雇されました。1992年に復帰しアルバムを完成させるも、ブラックモアはツアー途中に脱退。その後、スティーヴ・モーズが加入し、現在も活動を継続しています。

その後の活動

2006年には、歌手生活40周年を記念したセルフ・カヴァー・アルバム『ギランズ・イン』をリリース。また、Xbox 360用ソフト『ブルードラゴン』の挿入歌「Eternity」を歌唱しました。

2011年には、トニー・アイオミとのチャリティ・プロジェクト「WhoCares」を結成し、アルメニアの音楽学校再建のために活動しました。

イアン・ギランは、その音楽キャリアを通じて、ハードロック界に多大な貢献をしてきました。彼の音楽は、これからも多くのファンに愛され続けることでしょう。

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