スペースX CRS-18

スペースX CRS-18

スペースX CRS-18ミッションは、SpX-18とも称され、アメリカ航空宇宙局（NASA）が推進する商業補給サービス計画の一環として実施されました。これはスペースX社にとって、国際宇宙ステーション（ISS）への貨物輸送ミッションとしては18回目のフライトにあたります。

この重要な補給任務は、2019年7月25日にフロリダ州のケネディ宇宙センターから、同社の主力ロケットであるファルコン9に搭載されて宇宙へと旅立ちました。CRS-18ミッションは、ISSへの物資輸送と機器設置を目的としていました。

歴史的な宇宙船の再利用

本ミッションで特に注目されたのは、使用されたドラゴン宇宙船です。この機体は、過去に2015年4月のCRS-6ミッション、そして2017年12月のCRS-13ミッションで既に宇宙への飛行実績を持っていました。今回のCRS-18ミッションは、この特定のドラゴン宇宙船にとって3回目の軌道到達となりました。

これは、商業軌道輸送サービスにおいて、宇宙船が3度目の宇宙飛行を成功させた史上初の事例であり、宇宙開発における再利用技術の進展を示す画期的な記録となりました。これにより、将来的な宇宙輸送コストの削減や運航効率の向上が期待されます。

NASAとの契約とミッション計画

CRS-18ミッションは、NASAとスペースXの間で締結された商業補給サービス契約に基づいて実施されました。2016年2月、NASAはスペースXとの間で、CRS-16からCRS-20までの計5回分の追加ミッションに関する契約延長を承認しており、CRS-18はその延長契約に含まれるフライトの一つでした。

ミッションの詳細、すなわち輸送される主要な貨物の内容、具体的な打ち上げ日時、そしてドラゴン宇宙船が投入される軌道の諸元については、NASAが決定権を持って計画が進められました。

主要な貨物と積荷の内訳

CRS-18ミッションにおける最も重要なペイロードの一つは、第三世代となる国際ドッキングアダプタ（IDA-3）でした。これは、ISSに新たに訪れる商業乗員宇宙船（例：スペースX クルードラゴン、ボーイング CST-100 スターライナー）が安全にドッキングするための重要な接続部材です。IDA-3は外部貨物として運ばれました。

ISS船内へ届けられた貨物も多岐にわたり、その主な内訳と重量は以下の通りです。

科学研究関連物資: 1,192 kg
乗組員用の補給品: 233 kg
宇宙船のハードウェア: 157 kg
船外活動（EVA）用の装備品: 157 kg
* コンピューター関連の資材: 17 kg

また、外部貨物として輸送された国際ドッキングアダプタ（IDA-3）の重量は 534 kg でした。

その他の試験飛行

これらの正規の貨物輸送に加え、ドラゴン宇宙船には、スペースX社が開発を進める次世代大型宇宙船「スターシップ」で使用される予定のセラミック耐熱タイルが多数搭載されていました。これらのタイルは、大気圏再突入時の極度の高温に耐えるための重要な部品であり、CRS-18ミッションは軌道上での実環境における性能試験を行う機会となりました。

スペースX CRS-18ミッションは、ISSへの不可欠な物資供給に加え、商業宇宙船の再利用における新たなマイルストーンを打ち立て、将来の宇宙開発技術の検証にも貢献した重要なフライトでした。

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