スミソニアン協定

スミソニアン協定とは

スミソニアン協定（Smithsonian Agreement）は、1971年12月18日にアメリカのワシントンD.C.にあるスミソニアン博物館で行われた会議の結果、締結された国際的な通貨協定です。この協定は、1944年に開催されたブレトン・ウッズ会議によって確立された固定相場制の終了を意味します。この変更は、1971年8月15日にアメリカ合衆国のリチャード・ニクソン大統領によるドルの金への兌換停止（いわゆるニクソン・ショック）に端を発しています。

歴史的背景

1944年に結ばれたブレトン・ウッズ体制は、アメリカドルを中心に世界中の通貨が金に固定される制度でした。この体制は長い間維持されましたが、1970年代に入り、アメリカ合衆国や他国の経済規模が拡大するにつれて、金の供給が追いつかなくなりました。固定相場制は次第に運用が困難になり、経済成長と金の産出量の不均衡が問題として浮上しました。

1971年8月にニクソン大統領が、ドルと金の交換を一方的に停止すると発表したことで、金本位制は事実上終結しました。この動きは、世界の経済システムに大きな影響を与え、各国は新しい通貨システムを模索する必要に迫られました。

スミソニアン協定の締結

1971年12月、G10（当時のIMF加盟国の中で経済的な影響力を持つ10カ国）の財務大臣と中央銀行総裁が集まり、スミソニアン協定を締結しました。この協定では、アメリカドルに対して各国通貨を増価することで合意され、ドルと金との固定交換レートも見直されました。具体的には、金の価格が1オンスあたり35ドルから38ドルに引き上げられ、日本の円は1ドルあたり360円から308円に切り上げられました。

スミソニアン体制の持続と崩壊

スミソニアン協定の効力が発生した状態はスミソニアン体制と呼ばれますが、この体制は1973年初頭には早くも崩壊しました。この年の2月以降、日本やいくつかの欧州諸国が変動相場制に移行することを決定しました。この影響で、スミソニアン協定に基づく為替相場の維持が次第に困難になりました。

その時点では、為替相場の変動が市場の需給に基づいて広がる傾向が顕著になり、主要な通貨間での価値の変動が始まりました。特に、英ポンドなどは変動相場制に早々に移行しており、スミソニアン体制は次第に意味を失っていきました。

協定の影響と評価

スミソニアン協定は、国際的な通貨システムの再編成において重要な役割を果たしましたが、当初の期待に比べてその効果は一時的に過ぎないとされました。各国は為替市場の自由化が進む中で、今後の通貨政策を新たに考慮する必要に迫られることとなりました。

この協定は、固定相場制から変動相場制への転換という歴史的なシフトも意味しており、各国の通貨政策には大きな影響をもたらしました。

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