スミ入れ (模型)

スミ入れとは

スミ入れは、模型製作において、その表面の凹凸を強調し、よりリアルな仕上がりを目指すための塗装技法です。元々は日本画や水墨画で輪郭線を墨で描く技法でしたが、模型の世界では、パネルラインやモールドなどの凹部に塗料を流し込むことで、陰影をつけ、立体感を強調する目的で用いられます。

スミ入れの概要

スミ入れは、単に色を塗るだけでなく、模型のディテールを際立たせる重要な工程です。特に、パネルライン（装甲や外板の継ぎ目などの凹状のモールド）に対してよく用いられますが、生物模型における肌と衣服の境界線や、装着されている装備品など、強調したい部分にも応用できます。スミ入れは、ウォッシングと混同されることもありますが、スミ入れは主に凹部に色を流し込むのに対し、ウォッシングは模型全体に薄く塗料を塗り、拭き取ることで陰影をつけるという点で異なります。

スミ入れの種類

スミ入れは、大きく分けて2つの方法があります。

1. 凹部に塗料を流し込む方法:
- これは、凹部に塗料を流し込み、陰影を表現する方法です。塗料は、サラサラとした低粘度のものを使用し、毛細管現象を利用して凹部に流し込みます。使用する塗料は、水性塗料やエナメル塗料など、拭き取りが容易なものが適しています。この方法では、凹部以外に塗料が付着しないように注意します。

2. 線状に塗料を塗る方法:
- これは、平面や凸部の縁などに細い線を引くように塗料を塗る方法です。特に、凸状のモールドや、パネルラインがない場所にパネルラインを表現する場合に用いられます。この方法では、細い筆を使用し、線が均一になるように慎重に塗ります。使用する塗料は、1の方法よりも粘度が高く、定規などを用いて線を引くこともあります。

スミ入れの作業工程

スミ入れは、下地の色よりも暗い色（グレーやブラウンなど）を使用し、凹部を陰のように見せることで立体感を強調します。下地が黒や暗い色の場合は、逆に明るい色を使用することもあります。

1. 塗料の準備:
- 使用する塗料は、粘度を調整し、サラサラの状態にします。これにより、毛細管現象を利用して凹部に塗料が流れ込みやすくなります。

2. 塗料の塗布:
- 筆や細いペンなどを用いて、凹部に塗料を流し込みます。余分な塗料は、拭き取ります。

3. 乾燥:
- 塗料が完全に乾燥するまで待ちます。

4. 仕上げ:
- 必要に応じて、再度スミ入れを行い、より立体感を強調します。

スミ入れの注意点

• - スミ入れに使用する塗料は、下地を侵食しないものを使用しましょう。
• - 塗料を拭き取る際は、力を入れすぎないようにしましょう。下地の塗装を傷つける可能性があります。
• - スミ入れは、模型の完成度を大きく左右する工程です。焦らず、丁寧に作業しましょう。

スミ入れとその他の技法

スミ入れは、ウェザリングやエイジングといった他の技法と組み合わせて使用することで、よりリアルな模型を製作することができます。

• - ウェザリング: 模型に汚れや傷をつけることで、使用感を出す技法。
• - エイジング: 模型に経年劣化の表現を加える技法。

まとめ

スミ入れは、模型のリアリティを高めるための重要な塗装技法です。凹凸を際立たせることで、模型に陰影と立体感を与え、より魅力的な仕上がりにすることができます。スミ入れは、他の技法と組み合わせることで、さらに幅広い表現が可能です。ぜひ、スミ入れに挑戦して、模型製作の腕を磨いてください。

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