スラストレバー

スラストレバー（パワーレバー）について

航空機のコックピットに設置されているスラストレバー、またはパワーレバーは、機長や副操縦士、さらにはオートパイロットシステムによってエンジンの推力を制御するための重要な操縦装置です。この装置によって、航空機の性能や飛行状態が多大に影響されるため、その役割は非常に重要です。

構造と位置

多発機の場合、スラストレバーは各エンジンごとに1つずつ設けられており、それぞれのレバーには対応するエンジンの番号が記載されています。一般的に、これらのレバーは航空機のセンターコンソールに配置されていますが、小型機ではダッシュボードに取り付けられることもあります。このように、設置場所は機体の種類や機能に応じて異なるのです。

また、逆推力装置を備えた機体では、その制御装置が該当するエンジンのスラストレバーと一体化されていることがよくあります。こうした設計によって、発進時や着陸時の運用が効率良く行えるようになっています。

スロットル・レバー・アングル（TLA）

スラストレバーの設定位置は、スロットル・レバー・アングル（TLA）と呼ばれる角度で示されます。このTLAが大きいほど、エンジンの推力も増加します。したがって、パイロットは飛行の目的に応じて、スラストレバーの位置を適切に調整しなければなりません。

スロットルレバーの機能

スラストレバーには、通常ハイプレッシャ・コック・スイッチが付属しており、エンジンへの燃料供給を断続的に制御することも可能です。具体的には、レバーが最も後方にある際には、スロットル・ボックス内に設置されたマイクロスイッチの作用によって燃料供給バルブは閉じた状態にあります。これにより、エンジンが不必要に稼働することを防ぎます。

スロットルレバーを前方に押すと、マイクロスイッチが切り替わり、燃料供給バルブが開きます。この状態では、レバーが通常の運用範囲にある限り、燃料供給は持続的に行われます。パイロットが再び燃料供給を止めたければ、2つの異なる手段でマイクロスイッチを再度切り替える必要があります。具体的には、スロットルレバーを後方に引きながらメカニカル・ラッチを操作する方法や、戻り止め（ハード・ポイント）を超えて引くことで、レバーを最後方まで引いて燃料バルブを閉じることが可能です。

このように、スラストレバーは航空機のエンジン推力の制御だけでなく、その運用や安全性にも密接に関わっている重要な要素であると言えます。パイロットはスラストレバーの操作を通じて、飛行の安全を保ちながら、必要に応じて推力を調整し、快適かつ効率的な航空機運航を可能にしています。

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