スラーヤ

スラーヤ（Thuraya）衛星電話サービス

スラーヤは、アラブ首長国連邦に本社を置くThuraya Telecommunications Companyが提供する衛星電話サービスの総称です。このサービスは、音声通信やデータ通信など多様な通信手段を提供しており、特に広範なカバーエリアを誇っています。ヨーロッパや中東、アフリカ大陸（南アフリカ周辺を除く）、ユーラシア、アジア、オーストラリアまでをカバーしており、約25万件の契約回線を持っています。

提供されるサービス

スラーヤは、以下のような多彩なサービスを提供しています：

• - 音声通信：衛星通信とGSMを組み合わせたデュアル機能。特にSO-2510は衛星モード専用。
• - ショートメール(SMS)：音声通信だけでなく、テキストメッセージも送信できます。
• - アナログデータ通信：最大9.6kbpsの速度で通信が可能です。
• - FAX：データ通信と同じ速度のFAXサービスを提供。
• - GmPRS：第2世代端末専用の通信方式で、下り最大60kbps、上り最大15kbpsの速度。
• - パケット通信：144kbpsから444kbpsの速度で利用できる通信。
• - ストリーミング通信：特定の端末で384kbpsのストリーミングが可能です。
• - GPS機能：位置情報サービスも提供されています。

端末の種類

スラーヤの端末は、主に衛星携帯電話に焦点を当てており、以下のような多様な選択肢があります：

• - 第1世代端末：AscomやHNS-7100（生産終了）など、初期のモデル。この中でもHNS-7101は現在も利用可能。
• - 第2世代端末：SO-2510は衛星専用機、SG-2520はデジタルカメラを搭載した初の衛星電話です。Thuraya XTやSoftBank独自仕様の端末も含まれます。特にThuraya XT DualはGSMと衛星を組み合わせたハイブリッド端末となっています。さらに、データ通信専用の衛星モデムも利用可能です。

衛星通信の仕組み

スラーヤは、赤道上空に配置されたThuraya衛星を介して通信サービスを提供しています。現在はThuraya-1（バックアップ衛星）、Thuraya-2（アフリカ・中東・ヨーロッパ地域カバー）、Thuraya-3（アジア・ユーラシア・オセアニア地域カバー）の3つの衛星が運用されています。

日本での展開と制限

2012年には、日本デジコムとソフトバンクがスラーヤの契約を開始し、日本国内で合法的に利用できる環境が整いました。しかし、長野県を中心に、電波天文観測への影響から利用制限エリアが設けられ、特定の条件下でのみ使用が許可されました。

残念ながら、2024年には通信障害が発生し、アジア・太平洋地域でのサービスが停止。その影響で、スラーヤ社は日本市場から撤退することを決定しました。

登場作品

スラーヤの端末は映画「ホワイトハウス・ダウン」に登場し、アメリカ合衆国大統領が私用衛星電話としてThuraya XTを使用しています。このように、スラーヤは特に困難な環境での通信手段として、その存在感を示しています。

スラーヤは、通信技術の発展とともに、さまざまな用途に応じたサービスを提供し、今後もその影響力を拡大していくことが期待されています。

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