スリーアイ・グループ

スリーアイ・グループ：英国を代表する投資会社の軌跡

スリーアイ・グループ(3i Group plc)は、ロンドン証券取引所に上場する、世界的に知られた投資管理会社です。その歴史は、第二次世界大戦後の1945年にまで遡ります。戦後の英国経済の活性化を図るため、イングランド銀行と主要銀行の主導で設立されたIndustrial and Commercial Finance Corporation（ICFC）がその起源です。ICFCは、中小企業への長期投資促進を目的として設立されました。

その後、ICFCは成長を続け、1960年代以降は非上場企業へのグロースキャピタル投資においてイギリス最大手企業へと発展しました。1973年には、大企業への投資促進を目的として設立されたFinance Corporation for Industry（FCI）と合併し、Finance for Industry (FFI)となりました。さらに、1983年には社名をInvestors in Industryに変更。頭文字を取って「3i」と呼ばれるようになり、1987年には株式会社「3i Group」として法人化されました。そして、1994年7月、ロンドン証券取引所に上場を果たします。

3i Groupの成長は、単なる投資活動の拡大にとどまりません。1983年にはパリにオフィスを開設し、国際展開を本格化。現在では、ニューヨーク、フランクフルト、ムンバイなど世界各地に拠点を持ち、欧米やアジアで活発に事業を展開しています。その投資活動は、マネジメント・バイアウト（MBO）や債権管理などを含み、企業の経営改善や事業支援を目的としています。具体的には、経営戦略の策定支援、資本注入、リストラクチャリングなど多様な手法を駆使することで、投資先の企業価値向上に貢献しています。

2013年には、バークレイズのインフラファンド部門を買収するなど、積極的なM&A戦略も展開。これにより、3i Groupの投資ポートフォリオはさらに多様化し、世界経済の変動にも対応できる強靭な体制を構築しています。

日本市場への進出

3i Groupは、日本市場にも進出しています。1999年4月には、日本興業銀行との共同出資により「スリーアイ興銀バイアウツ」を設立。この合弁会社を通じて、日本企業への投資を行ってきました。代表的な事例として、2001年には日産自動車からバンテック（当時日産自動車のグループ会社）の株式を買収し、資金提供による経営再建に大きく貢献しています。この事例は、3i Groupの投資戦略が、単なる資金提供にとどまらず、経営ノウハウや人的資源の提供まで含む包括的なサポートであることを示しています。

まとめ

スリーアイ・グループは、戦後の英国経済復興からその歴史が始まり、現在では世界的なプライベート・エクイティ投資ファンドとして確固たる地位を築いています。長年にわたる投資活動を通じて培われた深い業界知識と、世界各国に展開するネットワークを活かし、これからも数多くの企業の成長を支援していくでしょう。その投資対象は、幅広い産業分野に及び、常に変化する市場環境に柔軟に対応することで、高い収益性を確保しています。 今後も、世界経済における同社の役割はますます大きくなっていくと予想されます。その動向は、世界の金融市場を注視する上で重要な指標の一つとなるでしょう。

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