スリー・ドッグ・ナイト

スリー・ドッグ・ナイト：時代を彩ったボーカルグループ

スリー・ドッグ・ナイトは、1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで活躍したロックバンドです。ダニー・ハットン、チャック・ネグロン、コリー・ウェルズという3人の個性的なボーカリストを擁し、そのハーモニーを特徴としたサウンドで数多くのヒット曲を生み出しました。

バンドの概要

バンド名の由来は、アボリジニの風習で、寒い夜に3匹の犬と寝るというものから来ています。このユニークな名前の通り、彼らの音楽もまた、他のバンドとは一線を画していました。21曲がビルボードのトップ40にランクインし、そのうち3曲が1位を獲得するという輝かしい記録を持っています。

歴史

1967年、ダニー・ハットンを中心に結成されたグループは、まず3人のボーカルグループとしてスタートし、その後、バックミュージシャンを加えて7人編成となりました。1968年にシングル「Nobody」でデビューした後、1969年に発表した「ワン」がBillboard Hot 100で5位を記録し、人気が爆発しました。その後、「ママ・トールド・ミー」 (1970年) 、「喜びの世界（ジョイ・トゥ・ザ・ワールド）」 (1971年)と立て続けに1位を獲得し、スターダムへと駆け上がりました。その後も「ブラック・アンド・ホワイト」、「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」、「シャンバラ」、「ショウ・マスト・ゴー・オン」など、数々のヒット曲を1974年まで送り出しています。

しかし、1975年にチャック・ネグロンがコカイン不法所持で逮捕された事件をきっかけにバンド内の人間関係が悪化し、1976年にダニー・ハットンが脱退。バンドは一度解散しました。

1981年には、デビュー時のメンバーを中心として再結成されましたが、その後はメンバーチェンジが相次ぎます。チャック・ネグロンは1985年に解雇され、以降はダニー・ハットンとコリー・ウェルズの2人がリードボーカルを務める体制で活動を続けました。2002年には、過去のヒット曲をロンドン交響楽団と再録音したアルバムを発表しています。

2015年には、メンバーのジミー・グリーンスプーンとコリー・ウェルズが相次いで亡くなり、バンドの歴史に幕を下ろしました。

楽曲の制作

スリー・ドッグ・ナイトの楽曲の特徴の一つに、外部の作曲家の作品を積極的に採用していた点が挙げられます。特に、無名のミュージシャンの楽曲を発掘し、3人のボーカルがそれぞれ選曲を担当し、他の2人の同意を得てレコーディングするというスタイルをとっていました。彼らのカバーによって、後にソロアーティストとして成功を収めた人物も少なくありません。主な作家と楽曲は以下の通りです。

レオ・セイヤー = 「ショウ・マスト・ゴー・オン」
ハリー・ニルソン = 「ワン」
ランディ・ニューマン = 「ママ・トールド・ミー」
ローラ・ニーロ = 「イーライズ・カミング」
ポール・ウィリアムズ = 「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」、「アウト・イン・ザ・カントリー」、「ファミリー・オブ・マン」
ラス・バラード = 「ライアー」
デイヴ・ロギンス = 「ピーセズ・オブ・エイプリル」

ディスコグラフィー

スリー・ドッグ・ナイトは、数多くのアルバムを発表しています。

スタジオアルバム

『ワン』 (1968年)
『融合』 (1969年)
『イット・エイント・イージー』 (1970年)
『ナチュラリー』 (1970年)
『ハーモニー』 (1971年)
『セブン・セパレート・フールズ』 (1972年)
『サイアン』 (1973年)
『ハード・レイバー』 (1974年)
『カミング・ダウン・ユア・ウェイ』 (1975年)
『アメリカ回顧録』 (1976年)
『It's a Jungle』 (1983年)
『Three Dog Night with the London Symphony Orchestra』 (2002年)

ライブアルバム

『白熱のライヴ』 (1969年)
『アラウンド・ザ・ワールド』 (1973年)
『Three Dog Night: Live』 (1988年)
『Super Hits Live』 (2007年)
『Three Dog Night: Greatest Hits Live』 (2008年)

コンピレーションアルバム

『ゴールデン・ビスケッツ〜スリー・ドッグ・ナイト・アーリー・ヒッツ』 (1971年)
『Joy to the World: Their Greatest Hits』 (1974年)
『The Best of 3 Dog Night』 (1982年)
『セレブレイト〜スリー・ドッグ・ナイト・ストーリー1965-1975』 (1993年)
『20th Century Masters - The Millennium Collection: The Best of Three Dog Night』 (2000年)
『ジョイ・トゥ・ザ・ワールド〜ベスト・オブ・スリー・ドッグ・ナイト』 (2002年)
『The Complete Hit Singles』 (2004年)

日本公演

スリー・ドッグ・ナイトは、1970年代に数回、日本で公演を行っています。1975年には大規模な日本ツアーを実施しました。しかし、1993年の公演ではチャック・ネグロンが参加しなかったため、「ツー・ドッグ・ナイト」と揶揄されることもありました。なお、1971年の初来日公演は中止となり、前座を務める予定だったUFOが代わりに出演したというエピソードも残っています。

関連事項

ハリー・ニルソン
僕の歌は君の歌 (曲)

外部リンク

公式ウェブサイト
IMDb'>スリー・ドッグ・ナイト - IMDb（英語）
Three Dog Night at AllMusic
Discogs'>スリー・ドッグ・ナイト - Discogs（英語）
Three Dog Night at the Vocal Group Hall of Fame（アーカイブ）

スリー・ドッグ・ナイトは、その独特のボーカルハーモニーと幅広い音楽性で、1970年代の音楽シーンを代表するバンドの一つとして、今もなお多くのファンに愛されています。

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