スル・ミガン・アピティ

スル・ミガン・アピティ：ベナンの政治家、大統領

スル・ミガン・アピティ（Sourou Migan Apithy, 1913年4月13日 - 1989年12月3日）は、ベナン（旧ダホメー）の政治家であり、1964年から1965年まで大統領を務めました。

生い立ちと初期の政治活動

アピティは、フランス統治下のダホメー（後のベナン）において、ヨルバ族の名門出身として生まれました。当時、ダホメーでは、南部を中心にフォン族とヨルバ族の対立があり、南北間の民族対立も存在していました。アピティは、フランスとカトリック教会の強い支持を受け、「ダホメー共和党 (PDD)」を結成し、政治活動を始めました。

ダホメー独立と政権参加

1960年8月、ダホメーは独立を果たし、フォン族に基盤を持つジャスティン・アホマデグベ、北部バリバ族の有力政治家ユベール・マガ、そしてアピティの3人が中心となり、政権が運営されることになりました。

大統領就任とクーデター

1963年10月27日、クリストファ・ソグロ参謀長によるクーデターが起こり、腐敗したマガ政権が打倒されました。その後、新たな憲法が制定され、1964年1月、アピティは大統領に、アホマデグベは副大統領に就任しました。しかし、フォン族とヨルバ族の敵対関係から、政権運営はすぐに困難に直面し、1965年11月には、ソグロ将軍による再びのクーデターによって政権は崩壊。アピティは国外へ亡命することとなりました。

その後のダホメーとアピティの帰還

ダホメーでは、その後も政情不安が続き、1967年12月、1969年12月とクーデターが頻発しました。1969年12月に発足したモーリス・クアンデテ参謀長、ポール・エミール・ドソウザ大佐らに率いられた軍事政権は、民政復帰を決定し、アホマデグベ、アピティ、マガの三頭体制を復活させました。

1970年には、三頭体制の下で大統領協議会が発足し、三頭が交代で議長に就任することとなりました。しかし、軍や政治家の腐敗は深刻であり、1972年10月26日、軍の若手将校であったマチュー・ケレク少佐によるクーデターによって、三頭体制は崩壊。ダホメーはケレク政権による安定期に入り、アピティらは政権の座から退くこととなりました。

アピティの政治生命は、ダホメーの独立と政情不安の時代を象徴するものであり、民族対立やクーデターといった困難に翻弄されながらも、ベナンの政治史にその名を刻みました。

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