スレイド (バンド)

スレイド (Slade)

スレイドは、1966年にイングランドのウルヴァーハンプトンで結成された、イギリスを代表するロックバンドです。1970年代初頭のグラムロック・ブームを牽引し、数々のヒット曲を連発、1980年代に入ってもその人気は衰えることなく、世界中の音楽ファンを魅了しました。

しかし、1992年に中心メンバーであったノディ・ホルダー（ボーカル、ギター）とジム・リー（ベース）が脱退。バンドは一時活動を停滞させますが、「スレイドII」として再始動し、後に再び「スレイド」として活動を再開しました。

その音楽性は、後の世代のミュージシャンにも大きな影響を与えており、KISSのジーン・シモンズもスレイドからの影響を公言しています。

また、スレイドの楽曲には「Coz I Luv You」や「Skweeze Me Pleeze Me」のように、意図的にスペルを間違えたタイトルが用いられていることも特徴です。

歴史

1970年代まで：グラムロック旋風の中心的担い手として

スレイドの前身は、1966年に結成された「The N' Betweens」というバンドでした。初期はキム・フォーリーのプロデュースでシングルをリリースしますが、大きな成功には至りませんでした。

その後、元アニマルズのチャス・チャンドラーに見出され、1969年に「アンブローズ・スレイド」名義でファースト・アルバム『ビギニングス』を発表。しかし、このアルバムもチャートインを逃しました。初期のスレイドは、ビート・ロックやサイケデリック・ロックの影響を受けたサウンドを特徴としていました。

チャンドラーの指導のもと、バンドはイメージ改革に着手。バンド名を「スレイド」と改め、派手な衣装を身にまとい、ポップなメロディーと豪快でタイトなリズムを融合させた独自のサウンドを確立。これがティーンエイジャーを中心に熱狂的な支持を集めることになります。1971年には、シングル『だから君が好き』で初の全英シングルチャート1位を獲得。

同時期に、ライブ・パフォーマンスの評価も高まり、1972年発表のライブ・アルバム『スレイド・アライブ』は全英アルバムチャート2位を記録。続いて発表したスタジオ・アルバム『スレイド?』は1位を獲得し、その後も『スレイデスト』、『大狂乱スレイド一座』とアルバムが1位を獲得しました。シングルでは『だから君が好き』、『恋のバック・ホーム』、『クレイジー・ママ』、『カモン!!』、『スクゥイーズ・ミー、プリーズ・ミー』、『メリー・クリスマス・エヴリバディ』など、1973年までに計6枚が1位を獲得。特に『メリー・クリスマス・エヴリバディ』は、100万枚を超える大ヒットを記録しました。

1974年には、バンド主演の映画『スレイド・イン・フレイム』が制作されました。この映画は、スレイドをはじめとするバンドが音楽業界で経験した出来事を基にした内容で、サウンドトラック盤からの先行シングル『ファー・アウェイ』は全英シングルチャート2位を獲得。しかし、映画自体は期待されたほどの成功を収めることはできませんでした。

1975年、スレイドはT・レックスやデヴィッド・ボウイなどと並ぶ人気ミュージシャンとなりますが、アメリカ進出は成功しませんでした。また、イギリス国内でも、映画のテーマ曲「ハウ・ダズ・イット・フィール」のチャートアクションが鈍化し始めました。

1977年には、レコード会社との契約が切れ、チャンドラーとも決別。パンク・ロック全盛の時代となり、スレイドは一時低迷期を迎えます。

1980年以降：再評価と新たな成功

1980年代に入り、NWOBHM（ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル）の台頭とともに、スレイドは徐々に人気を取り戻します。レディング・フェスティバルでの演奏が高く評価され、再びシングルがチャート上位にランクインするようになります。

スレイドの復活を決定づけたのは、1983年にクワイエット・ライオットが「カモン!!」をカバーし、大ヒットさせたことでした。これにより、オリジナルのスレイドへの注目度が再び高まり、『マイ・オー・マイ』や『ラン・ラン・アウェイ』がイギリスのチャートでトップ10入り。アメリカでも『ラン・ラン・アウェイ』が20位に入るなど、1970年代を上回る成功を収めました。

1992年、ノディ・ホルダーがバンド内の不和に嫌気がさして脱退。同時に、彼がスレイドにとって不可欠な存在だと考えていたジム・リーも脱退し、23年間の活動に終止符を打ちました。その後、残ったメンバーで「スレイドII」を結成し、活動を継続します。

2002年にはバンド名を再び「スレイド」に戻し、アルバムをリリース。2005年にはボーカリストが交代し、新たなコンピレーション・アルバムも発表されました。

2020年、ドン・パウエルがバンドを解雇されたことを公表。同時に、元メンバーと共に「ドン・パウエルズ・スレイド」を結成し、スレイドの楽曲を演奏することを発表しました。

音楽作品

スレイドは、数多くのスタジオ・アルバム、ライブ・アルバム、コンピレーション・アルバムをリリースしています。また、「Coz I Luv You」、「Take Me Bak 'Ome」、「Mama Weer All Crazee Now」、「Cum On Feel the Noize」、「Merry Xmas Everybody」など、数多くのヒット・シングルを生み出しました。

(※ ディスコグラフィは省略)

メンバー

ノディ・ホルダー (Noddy Holder) - ボーカル、ギター (1966–1992)
デイヴ・ヒル (Dave Hill) - ギター (1966–現在)
ジム・リー (Jim Lea) - ベース、キーボード、ボーカル (1966–1992)
ドン・パウエル (Don Powell) - ドラムス (1966–2020)

(※ その他のメンバーは省略)

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