スローモーション (中森明菜の曲)

スローモーション

中森明菜のデビューシングル『スローモーション』は、1982年5月1日にリリースされました。これは彼女の初のシングルであり、翌月発売されたスタジオアルバム『プロローグ〈序幕〉』の先行シングルとして位置付けられています。この楽曲は、来生えつこが作詞を担当し、来生たかおが作曲をした、非常に人気のある楽曲となっています。また、編曲は船山基紀が手掛け、プロデュースを小田洋雄が行いました。

特筆すべきは、楽曲のレコーディングがアメリカのロサンゼルスで行われた点です。新人シンガーとしての彼女にとって、初めてのレコーディングではありましたが、緊張からか「スローモションー」と歌ってしまい、ディレクターの島田雄三から何度も注意を受けたというエピソードが中森自身の口から語られています。

『スローモーション』は3年後の1985年発表の映像作品『はじめまして 中森明菜』において、そのレコーディング風景が収められています。デビュー曲の選考過程では、アルバム収録曲の候補の中から「銀河伝説」や「Tシャツ・サンセット」とともに本曲も挙げられていました。中森は母校の清瀬中学校で生徒にアンケートを行い、その結果「Tシャツ・サンセット」が人気だったものの、最終的には『スローモーション』がデビュー曲となりました。

その後、1982年9月23日の『ザ・ベストテン』の放送中に中森は自ら「スローモーション」を好んでいるとも言及しました。また、彼女の楽曲は後のアルバムにも収録され、1995年のベスト・アルバム『true album akina 95 best』や2002年の『Akina Nakamori〜歌姫ダブル・ディケイド』に再録されるなど、長年にわたって親しまれています。さらに、2010年にはパチンコ台のテーマソングにもなり、今も多くのファンに愛されています。

シングルのB面には「条件反射」が収録されており、こちらも中里綴が作詞、三室のぼるが作曲、船山が編曲を担当しました。この楽曲も『プロローグ〈序幕〉』の先行シングルカットです。

ビジュアル面では、シングル盤には通常版とプロモーション版の2種類のジャケットが存在し、リリース当時からビジュアルにも力を入れていました。また、2023年2月27日からは株式会社ファンデリーのテレビCMでも本曲が使用され、時代を越えて多くのリスナーの耳に触れています。

『スローモーション』はその音楽的魅力だけでなく、中森明菜自身のキャリアの第一歩や成長物語とも密接に関連しています。批評としても『CDジャーナル』は、楽曲が持つ初々しい歌声とその時代の様相を指摘しながら、今でも新鮮に響くと評しています。

オリコン週間シングルチャートでは、初登場58位を記録し、その後の最高順位は30位に到達。また、同チャートには計39週ランクインし、長期にわたってリスナーに愛され続けました。これらの事実からも『スローモーション』は中森明菜の代表曲の一つとしての地位を確立していることがわかります。

多くのアーティストにカバーされ、広く影響を与えた『スローモーション』は、それ自身が日本の音楽史に名を刻む楽曲であると言えるでしょう。

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