スーセントマリー運河

スーセントマリー運河：五大湖を繋ぐ生命線

北米大陸を流れるセントメアリーズ川は、スペリオル湖とヒューロン湖という、五大湖の中でも2つの巨大な湖を繋いでいます。しかし、その川には約7メートルの落差があり、船舶の航行には大きな障害となっていました。この問題を解決するために建設されたのが、スーセントマリー運河です。アメリカ合衆国とカナダの国境を挟んで、それぞれ運河が建設され、現在では世界でも有数の交通量を誇る重要な水路となっています。

アメリカ側：Soo Locks

アメリカ合衆国側では、Soo Locksと呼ばれる4つの閘門が並列して設置されています。全長2.6キロメートルに渡る運河は、年間約1万2千隻の船舶が行き交い、そのほとんどがこれらの閘門を利用しています。

最も古い閘門は1855年に建設されたものでしたが、現在では、デービス閘門(1914年完成)、サビン閘門(1919年完成)、マッカーサー閘門(1943年完成)、ポー閘門(1968年完成)の4基が稼働しています。それぞれ閘門の規模は異なり、ポー閘門は最大7万2千トンの船舶を通航させることができます。特にポー閘門はエリー湖以西からの大型船舶にとって不可欠な存在となっています。一方、デービス閘門やサビン閘門は、小型船舶の通航や観光用途などに使用されています。現在、老朽化したデービス閘門とサビン閘門に代わる、新たな閘門建設プロジェクトが進められています。

アメリカ合衆国陸軍工兵司令部が管理運営を行い、毎年6月最終金曜日には「技術者の日」として、一般公開が行われています。普段は立入禁止の閘門内部を見学できる貴重な機会となっており、閘門を通過する船舶を間近で観察することができます。

カナダ側：Sault Ste. Marie Canal

カナダ側にも運河が存在し、Sault Ste. Marie Canalと呼ばれています。アメリカ側と異なり、閘門は1基のみです。1895年に最初の閘門が完成しましたが、1987年に破損し、1998年に再建されました。再建された閘門は、全長77メートル、幅15.4メートル、水深3メートルと、アメリカ側の閘門に比べてはるかに小規模です。そのため、カナダ側の運河は主に観光船やレクリエーション用途で使用され、大型貨物船はアメリカ側の運河を利用します。

カナダ側の運河は国定史跡に指定されており、周辺は公園として整備され、観光名所となっています。アメリカ側とは異なり、閘門や船舶を間近で見学できるスペースも設けられており、夏季にはガイド付きツアーも開催されています。

冬季の閉鎖と維持管理

五大湖とセントローレンス川の水上交通は、冬季の氷結により閉鎖されます。そのため、スーセントマリー運河の閘門も毎年1月中旬から3月にかけて休止され、この期間は閘門の点検や保守、メンテナンスが行われています。

スーセントマリー両市の発展

運河の両岸には、ミシガン州スーセントマリー市とオンタリオ州スーセントマリー市が位置しています。両市はスーセントマリー国際橋で結ばれ、運河とセントメアリーズ川を自動車で渡ることができます。アメリカ側の橋の南詰は、州間高速道路I-75の北の終点にもなっています。アメリカ側は1万6千人、カナダ側は7万5千人の人口を抱え、運河は両市にとって重要な存在であり続けています。

スーセントマリー運河は、単なる水路というだけでなく、両国の歴史と経済、そして人々の生活を繋ぐ重要なインフラであり、北米大陸の歴史と発展に大きく貢献しています。

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