スーダンレッド

スダンレッド：発癌性が疑われる合成着色料

スダンレッド（Sudan Red）は、アゾ基を持つ芳香族化合物からなる合成着色料です。鮮やかな赤色を呈することから、古くから様々な用途で用いられてきました。別名スダンR、ソルベントレッド1とも呼ばれ、スダンI～IV、スダンレッド7Bなど、多くの種類が存在します。これらの種類は、番号や記号で区別されています。

スダンレッドの種類と化学構造

スダンレッドは、親油性を持つため、食品以外に、石油化学製品などの着色にも用いられてきました。代表的な種類とその化学構造式は以下のとおりです。

スダンレッドG (Sudan Red G)
IUPAC名: 1-(2-メトキシフェニルアゾ)-2-ナフトール
構造式: C₁₇H₁₄N₂O₂
CAS番号: 1229-55-6
スダンI (Sudan I)
IUPAC名: 1-フェニルアゾ-2-ナフタレノール
構造式: C₆H₅N=NC₁₀H₆OH
CAS番号: 842-07-9
スダンII (Sudan II)
IUPAC名: 1-[(2,4-ジメチルフェニル)アゾ]-2-ナフタレノール
CAS番号: 3118-97-6
スダンIII (Sudan III)
IUPAC名: 1-{[4-(フェニルアゾ)フェニル]アゾ}-2-ナフタレノール
CAS番号: 85-86-9
スダンIV (Sudan IV)
IUPAC名: 1-{{2-メチル-4-[(2-メチルフェニル)アゾ]フェニル}アゾ}-2-ナフタレノール
CAS番号: 85-83-6
スダンレッド7B (Sudan Red 7B)
IUPAC名: N-エチル-1-{[4-(フェニルアゾ)フェニル]アゾ}-2-ナフチルアミン
CAS番号: 6368-72-5

これらの化合物は、基本骨格となるナフトール誘導体にアゾ基(-N=N-)が結合した構造をしています。置換基の種類や数によって、色調や性質が異なります。

スダンレッドの安全性

スダンレッドは、[発癌性]]が疑われるため、多くの国で食品添加物としての使用が禁止されています。国際がん研究機関(IARC)では、スダンI、スダンII、スダンIII、スダンレッド7BをGroup 3（ヒトに対する発癌性が分類できない）に分類していますが、欧州食品安全機関]の報告では、スダンIについては遺伝毒性および[[発癌性が認められています。スダンII、スダンIII、スダンIV、スダンレッド7Bについても、データは不十分ですが、スダンIと同様の代謝産物が生じることから、同様の危険性が懸念されています。また、スダンIは皮膚毒性も有し、化粧品への混入による健康被害の報告もあります。

食品への混入事例

スダンレッドは、食品への不正な添加が問題となっています。特に、唐辛子などのスパイスへの添加が多く報告されています。

欧州: 2003年にフランスでインド産唐辛子からの検出が判明して以降、EU圏内での監視体制が強化されました。
中国: 食品への添加は禁止されていますが、零細業者による不正添加事例が繰り返し発生しています。漬け物、鹹蛋、口紅など、様々な食品からの検出が報告されています。
* ベトナム: 中国でスダンレッドを含有する食品が発見されたことを受け、ベトナムでも調査が行われ、中国製口紅などからの検出が報告されています。

スダンレッドは、その鮮やかな色調から食品の着色に不正に使用される危険性があり、消費者の健康を守るためには、継続的な監視と規制強化が不可欠です。

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