スーパーエクスプレスレインボー

スーパーエクスプレスレインボー：夢を乗せた欧風客車の軌跡

スーパーエクスプレスレインボーは、国鉄が1987年に改造・製作し、国鉄分割民営化後はJR東日本が2001年まで保有したジョイフルトレインです。多様化する利用者ニーズに応えるため、従来の和式客車とは異なる層をターゲットとした車両として誕生しました。

開発の背景

1980年代、国鉄東京北鉄道管理局では和式客車「なごやか」を運行していましたが、より多様なニーズに対応するため、新たなコンセプトの車両が求められていました。折しも国鉄分割民営化が決定し、JR東日本のスタートにふさわしい「夢を乗せる車両」として、スーパーエクスプレスレインボーの計画が始まりました。外装デザインは「乗ってみたくなる車両」を目指し、従来の欧風客車の魅力を最大限に引き出すように設計されました。

車両構成

スーパーエクスプレスレインボーは、4号車のイベント車のみ12系客車、その他は14系客車を改造したもので、全車グリーン車扱いでした。

1号車：スロフ14 705（パノラマグリーンカー、定員23人、展望室7人）
2号車：オロ14 714（グリーンカー、定員28人）
3号車：オロ14 713（コンパートメントカー、定員27人）
4号車：オロ12 715（イベントカー、定員外30人）
5号車：オロ14 712（コンパートメントカー、定員27人）
6号車：オロ14 711（グリーンカー、定員28人）
7号車：スロフ14 706（パノラマグリーンカー、定員23人、展望室7人）

デザインコンセプト

若年層やスキー客を主なターゲットとし、シティ感覚を取り入れた落ち着いた雰囲気の車両を目指しました。車体外部は、チェリーレッドをベースに白いストライプを配し、スピード感を強調。イベント車には「SUPER EXPRESS RAINBOW」のロゴが大きく描かれました。

各車両の特徴

パノラマグリーンカー (1号車・7号車)：展望室を備え、曲面ガラスから光を取り込む開放的な空間。リクライニングシートは360度回転可能で、室内は1号車がオレンジ色、7号車が青色を基調とした配色でした。
グリーンカー (2号車・6号車)：ミニステージが設置され、イベントに対応。座席配置はパノラマグリーンカーと同様で、室内色もそれぞれ対応する車両と統一されていました。
コンパートメントカー (3号車・5号車)：6人用個室4室と3人用個室1室を設け、小グループでの利用に対応。個室内は土足禁止で、ソファー形式の座席と個別の冷暖房制御が可能です。
* イベントカー (4号車)：車体中央部にステージと可動式テレビカメラを設置。通路には可搬式ソファーと折り畳み式座席を配置し、パーティーなど多目的な利用を想定。当時最新のオーディオシステムやスナックカウンターも装備されていました。

専用機関車

スーパーエクスプレスレインボー牽引のため、EF65 1019とEF81 95が専用機関車として用意されました。チェリーレッドを基調とした車体に、形式名が斜めに大きく描かれたデザインが特徴的でした。EF65 1019の廃車後は、EF65 1118が後継機として活躍しました。

沿革

1987年3月にデビューし、「レインボー」の名を冠した団体専用列車や臨時急行、シュプール号などに使用されました。一時期は「ミス・レインボー」と呼ばれる客室乗務員が乗務していましたが、1990年に引退。老朽化や客車列車のダイヤ設定の難しさなどから、2000年3月に運用を終了し、2001年に廃車となりました。

現在

専用機関車は、スーパーエクスプレスレインボーの廃車後も塗色を保ち、他の列車牽引に活躍しました。EF65 1118は2015年に廃車されましたが、EF81 95は現在も臨時列車や乗務員訓練列車などで使用されています。

スーパーエクスプレスレインボーは、短い期間ながらも多くの人々に夢と希望を与えた、記憶に残るジョイフルトレインでした。

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