スーパーターンスタイルアンテナ

スーパーターンスタイルアンテナは、広帯域で無指向性の水平偏波を放射するターンスタイルアンテナを、多段に積み重ねることで、より高い利得を得られるように設計されたアンテナです。その形状からバットウイングアンテナ、またはSTアンテナとも呼ばれます。

概要

このアンテナは、アメリカのRCA社によって考案されました。名前の通り、コウモリの羽のような独特の形状が特徴です。基本的な構造は、4つの水平ダイポールアンテナを組み合わせたもので、単体での水平指向性は1/2波長ダイポールアンテナと同等です。

これらの水平ダイポールアンテナは、上から見ると東西南北に90度間隔で配置されています。そして、南北方向のアンテナと東西方向のアンテナに、90度の位相差をつけて給電することで、ほぼ円形に近い指向特性を持つ電波を放射することが可能です。この特性が、広範囲に均一な電波を届ける必要がある超短波テレビ放送に非常に適しており、広く利用されている理由となっています。

詳細な構造と動作原理

スーパーターンスタイルアンテナは、複数のターンスタイルアンテナを垂直方向に積み重ねた構造をしています。各ターンスタイルアンテナは、水平ダイポールアンテナを組み合わせたもので、これらを適切に給電することで水平偏波の電波を効率的に放射します。アンテナを多段化することで、電波の放射強度が増加し、より広い範囲に電波を届けることができるようになります。

主な用途

このアンテナは、その特性から主に超短波（VHF）帯域のテレビ放送に利用されています。水平偏波の電波を無指向性に放射できるため、広い範囲の受信者に対して安定した放送電波を供給するのに適しています。また、構造が比較的シンプルであり、安定した動作が期待できるため、放送局などで信頼性の高いアンテナとして採用されています。

参考文献

清水保定『写真で学ぶアンテナ』（初版）廣済堂、東京都、2002年5月27日、232頁。ISBN 4807606026。

関連項目

* ダイポールアンテナ

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